緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけ読んだ不安・恐怖(障害)の治療法に関する最新の論文を取り上げます。

なぜ不安・恐怖(障害)なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害になりました。

今回は、マインドフルネス・エクササイズ単独でも不安や抑うつを低下させることが可能というお話です。

なお、不安・恐怖(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事1⇒協力と認知は共進化可能
最近の記事2⇒交流バイアスは協力を高め、忘却による協力率の低下を弱める
最近の記事3⇒低コストの副産物の提供から高コストの協力関係が出現
最近の記事4⇒魚でもパートナーが意中の相手でないと悲観的になる
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2018年11月15日~18日、ワシントンD.C.で開催されたアメリカ行動療法認知療法学会第52回年次大会(Association for Behavioral and Cognitive Therapies 52nd Annual Convention)にて、場面緘黙児への集中的集団行動療法の効果を行動観察で検証した研究が発表されました。

Hong, N., Cornacchio, D., Furr, J. M., & Comer, J. S. (2018). Utilizing Observational Measures to Evaluate the Efficacy of Intensive Group Behavior Therapy for Children with Selective Mutism. Poster presented at 2018 Annual Convention of the Association for Behavioral and Cognitive Therapies, Washington Marriott Wardman Park Hotel, Washington, DC. <https://www.eventscribe.com/2018/ABCT/fsPopup.asp?efp=R1FDRUhCTUg2MzM3&PosterID=163964&rnd=0.5062361&mode=posterinfo>

研究者は全員フロリダ国際大学に所属を持っています。特に、Natalie Hong氏とJonathan Comer氏はフロリダ国際大学の精神衛生介入・技術(Mental Health Interventions and Technology,MINT)プログラムに参画しています。Jami Furr氏は言語環境解析(Language ENvironment Analysis,LENA)を用いた場面緘黙症研究の先駆者です。

〇背景

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場面緘黙児の緊張や不安の低減のために「マインドフルネス」を取り入れた支援を行った研究成果が発表されました。時間がないので速読しただけですが、気になるトピックなのでふれておきます。以下の伊藤・成瀬(2018)では、マインドフルネスの説明として日本マインドフルネス学会の説明を引用し、「今、この瞬間に意図的に意識を向け、評価をせずにとらわれのない状態でただ観ること」としています。

伊藤佐陽子・成瀬智仁(2018). 場面緘黙児に対する不安軽減プログラムの実践的効果の検証-マインドフルネス・プログラムを活用した介入効果- 明治安田こころの健康財団研究助成論文集(安田生命社会事業団研究助成論文集), 53, 69-78.

論文著者の伊藤佐陽子氏は京都西山短期大学准教授。成瀬智仁氏は神戸国際大学所属となっています。成瀬智仁氏は他に「緘黙生徒に対する高校教員の指導意識について -緘黙についての理解と指導意識の類型-」や「緘黙児童に対する小学校教員の教育援助について ―緘黙症状の類型と小学校教員のかかわり―」「緘黙児童に対する小学校教員の教育援助について(2) ―緘黙類型と小学校教員の援助の課題―」など、場面緘黙の研究を多数発表されています。

本研究の趣旨は、発話行動に直接介入するのではなく、「緊張と不安を軽減し、自信と安心を確保して生活の質的向上をはかることから緘黙症状の改善につなげようとする」手法の効果の検証です。そのために、マインドフルネスの実践を軸としたプログラムを施行しました。論文では「身体からの介入を行い、その結果から発話行動の変化をみる取り組み」との説明もあります。本介入はワークショップ・スタイルという点も特徴の1つです。つまり場面緘黙児やその保護者が直接、相互交流しました。

本研究の参加者となる場面緘黙児とその保護者の募集は、京都西山短期大学のHPで「緊張や不安の強い子どもへのワークショップ参加者募集」として行われていました(その他の形態の募集については私の知るところではありません)。ただ、論文では「緊張と不安のある子どもへのワークショップ場面/選択性かんもく(緘黙)児へのカラダ・こころ遊び支援プログラム-」と若干表記が異なります。

〇方法

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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