緘黙を(臨床)心理学の研究等から考察 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

人は自分が思うほど喋っていないという研究があります。この研究は自己報告のお喋り時間がどれだけ正確かを検討したもので、場面緘黙症(選択性緘黙症)の研究や治療、支援にとっても意義深い内容なので、とりあげることにします。

なお、それ以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事1⇒援助希求者は人助けにかかる労力を過小評価している
最近の記事2⇒マインドワンダリングと将来の身体活動量の関係は感情状態によって異なる
↑記事1はのび太とドラえもんの関係にたとえられます。援助希求者がのび太、援助者(支援者)がドラえもんというわけです。記事2のマインドワンダリングとは、「心ここにあらず」の状態のことで、現在すべき課題とは別のことを考えている状態という意味です。

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実は、喋らなくても喋っているという感覚(錯覚)を味わうことができるという実験があります。これを場面緘黙(選択性緘黙)児・者の支援に何らかの形で生かせる可能性があるかもしれないので、本ブログで取り上げることにします。

Banakou, D., & Slater, M. (2014). Body ownership causes illusory self-attribution of speaking and influences subsequent real speaking. Proceedings of the National Academy of Sciences, 111(49), 17678-17683. doi: 10.1073/pnas.1414936111.

★概要

実験の前に2人(男性1人・女性1人)から9種類の単語の発話を記録。2人の声は基本周波数(F0,Fundamental frequency)がスペイン人の平均値よりも高かったです。ダメ押しでさらにピッチを調整し、確実に声が高くなるようにしました。後述するように、この声刺激をあたかもバーチャル身体が発しているかのようにしました。

○実験手続き

実験参加者はスペイン人44人。後に述べるように、実験条件は視運動(同期 or 非同期)×喉への振動刺激の有無の4通りで、すべて被験者間計画。平均年齢は20~27歳で、群間の有意差なし。バーチャルリアリティ(VR)実験の前後に、単語を言っている時の声のF0を計測。

実験開始前にヘッドセットを装着して9種類の単語を発声し、音声データとして記録しました。単語はバーチャル身体が「喋っている」のと同じ単語を用いました(詳細は後述)。

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場面緘黙児(選択性緘黙児)の容姿が良いと周囲の大人から共感をもらえず、援助もしてもらえないかもしれません。これが本当ならばイケメン・美少女の緘黙児は不利な状況に置かれます。この考察は以下の論文から得られたもので、まずその研究内容を見ていきましょう。

Fisher, R. J., & Ma, Y. (2014). The Price of Being Beautiful: Negative Effects of Attractiveness on Empathy for Children in Need. Journal of Consumer Research, 41(2), 436-450. DOI: 10.1086/676967.

カナダのアルバータ大学の研究者たちの論文です。彼らの研究はまず顔刺激の開発からスタートしました。発展途上国の子ども100人以上の写真から魅力度が異なる20人の男子と女子の刺激を選択しました。彼らは無表情で民族性(エスニシティ)・年齢・服装も似たようなものでした。彼らの写真はAmazon’s Mechanical Turkで募集した119人(男性58%、平均年齢32歳)が評価しました。 

*Amazon’s Mechanical Turkとは低コストで多くの被験者を集めてオンライン調査・実験を実施できるAmazonのサービスのことです。近年心理学でAmazon’s Mechanical Turkを用いた調査・実験が出てきています。

各実験手続きの詳細は後述しますが、最初に子供の顔の魅力の高さが情動や知能、社会性の知覚に与える影響を調べた結果を書きます。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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