2011年05月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

勉強を兼ねて『Extreme Fear, Shyness, and Social Phobia: Origins, Biological Mechanisms, and Clinical Outcomes (Series in Affective Science)』という書籍を読んでいます。その内容について少しずつ書き記していこうと思います。今回は発達心理学者Jerome Kagan氏ご執筆の「行動抑制の概念(part1:幼少期の恐怖とシャイネス―概念的、生物学的、発達学的考察の1節)」です。




○行動抑制とはなんぞや

行動抑制とは見慣れぬ人や場所、物などに対して不安を抱き、警戒し、回避する行動パターンのことです。行動抑制だからといってかならずしもシャイだとは限らず、またシャイだからといって抑制気質(行動抑制)があるとは限りません。

行動抑制の研究の端緒はFels財団(フィラデルフィア)が運営していた1929年創設のFels研究所(オハイオ州イエロースプリングス)です。Fels研究所は人間の生涯にわたる身体的、心理的側面を研究しています。この研究所が1929年から1930年後半生まれの子どもを追跡調査したことが事の始まりです。ただ、この当時は行動抑制という概念はまだなかったようです。

○行動抑制の特徴

・幼児期に抑制気質があった場合、後にシャイ、慎重、内向的になりやすい。

・行動抑制だったすべての幼児が内向的になるわけではないが、外交性が高くなることは非常に稀。

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今回は気晴らしに行動抑制に関する論文を読んでみました。復習を兼ねてアップしておきます。

行動抑制とは見知らぬ人や場所、状況に対して過度に警戒心をもち安易に近づかない気質だとか行動パターンを指します。私が現在読んでいる『Extreme Fear, Shyness, and Social Phobia (Series in Affective Science)』によれば、警戒心を抱く対象が人ならシャイ、状況なら内気と呼ぶと行動抑制に関する研究者であるKagan教授は指摘しています。

Fox, N. A., Nichols, K. E., Henderson, H. A., Rubin, K., Schmidt, L., Hamer, D., Ernst, M., & Pine, D., S.(2005). Evidence for gene-environment interaction in predicting behavioral inhibition in middle childhood. Psychological Science, 16, 921-926.

上記の研究をとりあげます。不安との関連が疑われる短いセロトニントランスポーター遺伝子と社会的支援という環境要因の相互作用が子どもの行動抑制に及ぼす影響を調べた研究です。

○調査手法

・幼児の抑制傾向の程度を1歳2ヶ月の時に定量化。同じ幼児が7歳になった時にもう一度行動抑制の度合を調査。7歳のときには恥ずかしがり屋(シャイ)の程度も調べた。

行動抑制⇒実験者の観察
シャイネス⇒母親に質問紙調査
社会的支援の程度⇒子どもが4歳の時に母親が質問紙に回答

○結果

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今回は社会不安障害に対する認知行動療法と薬物療法の有効性を生理心理学的観点から検証した研究をとりあげます。精神療法と薬物療法は共に扁桃体を含む辺縁系の活動を抑えることでその効果を発揮するという結果が得られています。なにより重要なのは治療1年後の予後を大脳皮質の奥深くにある領域(扁桃体など)の興奮度によってほぼ確実に予測できたことです

Furmark, T., Tillfors, M., Marteinsdottir, I., Fischer, H., Pissiota, A., Långström, B., & Fredrikson, M.(2002). Common changes in cerebral blood flow in patients with social phobia treated with citalopram or cognitive-behavioral therapy. Archives of General Psychiatry, 59, 425-433.

★概要

シタロプラムというSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を処方した群と集団認知行動療法を実施した群、治療待ち群に患者を分けています。治療期間・待機期間は9週間です。これらの3群について、治療の前後に人前でスピーチをしてもらっています。スピーチ中に脳の血流をPET(陽電子断層撮影)で測定しています。

その結果、SSRIと認知行動療法はともに症状の軽減に成功しました。SSRIと認知行動療法の脳への作用はほとんど同じでした。つまり、治療による寛解にスピーチ中の脳血流量の減退が伴っていました。このような変化があった部位は両半球(特に右半球)の扁桃体、海馬でした。ただ、右視床ではSSRIを処方された方が有意に血流が増加しました。

辺縁系(扁桃体・海馬)の他にも、認知行動療法群では中脳水道灰白質の血流が減少し、右小脳や第2次視覚野の血流が増加していました。一方、SSRI群では左視床と左前頭葉下部の血流が減少していました。全体的に症状が緩和した人は右前頭葉下部、右背外側前頭前野、両半球の前帯状回の血流が減少していました。

そして、治療による扁桃体、中脳水道灰白質、左視床の活動低下が大きければ大きいほど、1年後の予後が良好なことが判明しました。

★コメント

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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