2011年06月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

今回は全般性社会不安障害の人が賛辞や非難に接した時に脳がどのような活動をするのかという疑問に挑んだ研究です。

Blair, K., Geraci, M., Devido, J., McCaffrey, D., Chen, G., Vythilingam, M., Ng, P., Hollon, N., Jones, M., Blair, R. J. R., & Pine, D. S.(2008). Neural response to self- and other referential praise and criticism in generalized social phobia. Archives of General Psychiatry, 65, 1176-1184.


★概要

他者の前で話したり、なにかをしたりすることだけでなく、ほとんどの社会的場面を恐れる全般性社会不安障害に関する研究です。全般性社会不安障害の人と心身の疾患がない人に下記のような文を読ませます。その間に、fMRIで脳活動に関するデータを収集しています。

1.「あなたは天才だ」「あなたは馬鹿だ」「あなたは人間だ」といった参加者自身に関する肯定文や否定文、そのどちらでもない中性的な文

2.「彼/彼女は天才だ」「彼/彼女は馬鹿だ」「彼/彼女は人間だ」といった第3者に関する肯定文や否定文、そのどちらでもない中性的な文

※参加者には日常で意見を気にしている人を頭に描いてもらいながら文を読ませています。

その結果、全般性社会不安障害の人はそうでない人よりも自己に関する否定的な文を不快に感じていました(質問紙で確認)。社会不安障害の人は自己に関する否定的な文を読んだ時だけ扁桃体や内側前頭前野(ブロードマンの脳地図の8・9野)が左右の半球で活発になることが分かりました。左扁桃体と内側前頭前野が機能的に連動していることも統計的に確認できました。筆者らは先行研究を渉猟し、扁桃体が感情に、内側前頭前野が自己に関係する情報の処理に関与していると述べています。

★コメント

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今回は社会不安がある人(約12歳)が「嫌な人」からの評価を考えた時に脳がどのような活動をするのかという謎に挑んだ研究です。

Guyer, A. E., Lau, J. Y. F., McClure-Tone, E. B., Parrish, J., Shiffrin, N. D., Reynolds, R. C., Chen, G., Blair, R. J. R., Leibenluft, E., Fox, N., Ernst, M., Pine, D. S., & Nelson, E. E.(2008). Amygdala and ventrolateral prefrontal cortex function during anticipated peer evaluation in pediatric social anxiety. Archives of General Psychiatry, 65, 1303-1312.

★概要

社会的場面に不安がある人を対象とした研究です。不安群の選定方法が独特です。例えば、社会不安障害だけでなく、全般性不安障害と分離不安障害あるいはこれらの合併症も不安群に投入しています。過去に社会不安障害だったのに、現在はそうではない人が含まれることを示唆する記述がありますが、正確なことは分かりません。ただ、いずれも社会的場面に不安があることを尺度で確認しています。この不安群と精神疾患がない群を比較、検証しています。

○実験手順

①参加者と同年齢の人の笑顔が写っている写真を見せ、その人とチャットをしたいか尋ねる。この評定が写真に写っている人に伝えられることを参加者に報せる。

②2週間後、fMRIで脳活動をスキャンしている間に再び同じ写真を見せる。この時に、写真に写っている人が参加者自身とどのぐらいチャットをしたいと思っているか想像してもらう。

この実験では、2週間前にチャットをしたくないと答えた人からの評価(しっぺ返し・報復?)を考えている間、脳活動はどうなるのだろう?という疑問に挑んでいます。不安傾向がある人は一緒にチャットをしたくないと思った人からネガティブな評価を受けると考えてしまうという前提に立っています。いわゆる、「認知の歪み」というものを実験的に作り出したわけです。なお、写真は1枚だけではなく、複数枚見せます。

○結果

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不快な刺激に対して手足をばたつかせる乳児(4ヶ月)とそうでない乳児は18歳になると脳の厚さが異なることを示した研究をとりあげます。不快な刺激に対する乳児の反応と行動抑制についてはこちらを参照してください。手足をばたつかせることだけが過剰反応ではありません。不快な刺激に泣くというのも過剰反応の一種です。なお、行動抑制というのは見知らぬ人や物、場所などに安易に近づかないことです。

Schwartz, C. E., Kunwar, P. S., Greve, D. N., Moran, L. R., Viner, J. C., Covino, J. M., Kagan, J., Stewart, E., Snidman, N. C., Vangel, M. G., & Wallace, S. R.(2010). Structural differences in adult orbital and ventromedial prefrontal cortex predicted by infant temperament at 4 months of age. Archives of General Psychiatry, 67, 78-84.

★概要

4ヶ月齢の時に不快な刺激に過剰反応を示した乳児が18歳になった時の脳の厚さを過剰反応がなかった人の脳の厚さと比較した研究です。18年の追跡調査です。過剰反応だった人は感情・扁桃体の制御を担う眼窩前頭前野の左側が薄く、防衛反応や交感神経系の働きに重要な腹内側前頭前野の右側が厚いという結果が得られています。その差は10~12%ほどです。厚さの差異はその他の脳領域では認められませんでした。

★コメント

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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