2011年08月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

馴染みのない物や人を警戒し回避する行動抑制。子どもの行動抑制は将来、社会不安障害やうつ病になる確率を高めると言われています。今回は、行動抑制の経歴があった青年は脳の「報酬系」が活性化しやすいという趣旨の論文です。行動抑制は扁桃体だけではなく、報酬系に関しても機能的異常があると主張する研究グループがいます。彼らの研究の1つがこの論文です。

なお、ハーバード大学のJerome Kagan教授の行動抑制に関してはこちらをご覧ください(Gray教授の行動抑制系とKagan教授の行動抑制は違う概念です)⇒行動抑制の概念 by Jerome Kagan

Bar-Haim, Y., Fox, N. A., Benson, B., Guyer, A. E., Williams, A., Nelson, E. E., Perez-Edgar, K., Pine, D.S., & Ernst, M.(2009). Neural correlates of reward rocessing in adolescents with a history of inhibited temperament. Psychological Science, 20, 1009-1018.

★概要

乳幼児期に母親に質問紙調査したり、見慣れぬ刺激に対する反応を実験者が直接観察して、行動抑制の有無を判定しています。これらの乳幼児が約16歳になった時に実験をしています。実験は、参加者に自らの選択が正しければ、金銭報酬を獲得できるが、誤ると金銭報酬を収得できないと思い込ませる課題がメインです。その他、2つの課題も用いています。課題遂行中の脳活動をfMRIで計測しています。

その結果、抑制気質のあった人はその正反対だった人と比較して、メイン課題で脳の報酬系である「側坐核」の活動が活発になっていました。

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馴染みのない物や人を警戒し回避する行動抑制。子どもの行動抑制は将来、社会不安障害やうつ病になる確率を高めると言われています。

今回は行動抑制と扁桃体の関係について調べた論文です。私の知る限り、行動抑制と扁桃体の関係について直接調査した研究はこれが初めてです。なお、行動抑制についてはこちらをご覧ください。

Schwartz, C. E., Wright, C. I., Shin, L. M., Kagan, J., & Rauch, S. L.(2003). Inhibited and uninhibited infants "Grown Up": adult amygdalar response to novelty. Science, 300(5627), 1952-1953.

★概要

大人(約22歳)が実験に参加しています。この大人は、2歳の時に行動抑制だったり、その対極だったりした人達です。以下、前者を抑制群、後者を非抑制群と呼称します。

抑制群と非抑制群に人間の無表情な顔を見せ、その間の脳活動をfMRIで調べています。以前参加者に見せた顔(既知条件)と初めて見せる顔(新奇条件)という2タイプの刺激を用いています。この条件設定が実験のミソとなります。

その結果、抑制群は既知条件よりも新奇条件の方が扁桃体の反応が強いことが分かりました。一方、非抑制群ではそのような差異は認められませんでした。

新奇条件では抑制群は非抑制群よりも扁桃体の活動が活発でした。一方、既知条件では抑制群と非抑制群の間に扁桃体反応の差がありませんでした。

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不安や恐怖を担う神経回路に関する総説論文を読んでいました。引用文献が180件もあり、内容が濃いので5回に分けています。前回はこちら

Charney, D. S.(2003). Neuroanatomical circuits modulating fear and anxiety behaviors. Acta Psychiatrica Scandinavica Supplementum, 108(417), 38-50.

○まとめ

・PTSD(心的外傷後ストレス障害)患者の視床下部ー下垂体前葉ー副腎系に異常が認められる。たとえば、PDSD患者は副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンやコルチゾールの分泌が高まっている。

・パニック障害の人でベンゾジアゼピン受容体がもつ抗不安作用の低下が確認されている。たとえば、再取り込みや結合能が低下している。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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