2013年01月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

なじみのない人や物に対して不安を抱き、容易に近づかない傾向のことを行動抑制といいます。詳しくは『行動抑制の概念 by Jerome Kagan』を参照してください。

今回は行動抑制の持続要因を調べた結果、ある環境因子と脳活動が重要であることが明らかになった研究です。抑制気質をほったらかしにしておくと社会(社交)不安障害やうつ病になりやすいといわれており、持続因子の特定は大切です。

Fox, N. A., Henderson, H. A., Rubin, K. H., Calkins, S. D., & Schmidt, L. A. (2001). Continuity and discontinuity of behavioral inhibition and exuberance: psychophysiological and behavioral influences across the first four years of life. Child Development, 72, 1-21.

★概要

乳児が4ヶ月齢の時に気質を調査(スクリーニング)し、4歳まで追跡した研究です。4ヶ月齢でのスクリーニングでは新奇な音や物に対して手足を動かす運動反応や笑う、泣くといった感情反応を測っています。その結果、①運動反応が大きく、ポジティブな感情を示す<ポジティブ>群②運動反応が大きく、ネガティブな感情を示す<ネガティブ>群③運動反応も感情反応も小さい<低反応>群に分けられました。

1歳2ヶ月と2歳の時に行動抑制の指標として実験室での様子(ロボットやピエロに扮した実験者に対する反応など)を観察しています。脳波(EEG)はビンゴ抽選器などで注意を促している時に測定しました。

4歳でも行動観察を実施しているのですが、行動抑制ではなく、behavioral reticence(直訳:行動上の無口)という用語を用いています。これは年長児で行動抑制が発展したものです。なぜ行動抑制以外の言葉を使うのかという理由が本論文の序論で述べられています。それによれば、年齢による抑制行動の違いが用語の選択に反映しているそうです。具体的に申しますと、比較的幼い頃は新奇な物や状況に対する反応が行動抑制の指標となるのに対して、成長するとそれだけでは行動抑制が現れず、見知らぬ他者との積極的な相互作用の程度で抑制気質が測られるからということです。

今回は、他の子との自由遊び中、なにもせず傍観していることをbehavioral reticence(行動上の無口)の指標としました。まるで、緘動ですね…。

結果、ネガティブ群(4ヶ月齢)はその他の2群に比べて行動抑制(1歳2ヶ月)が高く、ポジティブ群(4ヶ月齢)は他の2群と比べて行動抑制(2歳)が低いことが分かりました。ただし、4ヶ月齢での気質と4歳時点での行動抑制との関連は小さい結果となりました。

…と、ここまでは前半戦でまだまだ論文は続きます。研究者は行動抑制が高いままの子とそこから脱する子がいることに気づき、さらなる分析をしています。

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2011年9月10日、愛知県医師会館で開催された東海学校保健学会において、場面緘黙症を知っている一般教諭/養護教諭は95%以上を占めるが、支援方法を知っているのは半数に満たないとの調査結果が報告されました。

杉森優・石原貴代(2011). 学校における場面緘黙に対する理解のあり方と支援―不安の視点から― 第54回東海学校保健学会総会講演集, 15. 

○調査の内容

2010年(平成22年)8月~9月に行われた調査です。

「無作為に抽出した愛知県と静岡県の公立小学校の一般教諭及び養護教諭、愛知県50校、静岡県50校、計100校、200名を対象に調査」し、「49校、計90名の回答を得」ました。

結果、『「場面緘黙症という言葉を知っている」98.9%、「場面緘黙症の症状を知っている」96.7%、「支援方法を知っている」40.9%』とのデータが得られました。

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去年(2012年)の暮れも間近な時期、Selective Mutism for Singing (SMS)というフレーズをネット上で発見し大変驚きました。訳すると、「歌唱場面での緘黙」といったところでしょうか。いったいこの「緘黙」は何だろうと思って、最初にこの表現を生み出した論文を読んでみました(記事最後の参考文献参照)。

○前口上:Selective Mutism for Singing (SMS)が誕生した経緯

オーストラリアでは音楽、特に歌唱に参加する人が少ないそうです。この現状に対して懸念を抱いた人がいます。オーストラリア国立大学のSusan West博士(音楽教育が専門)です。余談ですが彼女はオーストラリアで数々の賞を受賞しています。

West(2009)によれば、音楽活動は人間にとって基本的なものでコミュニティに含まれる人たちの間をつなぐ「接着剤」の役割を果たしているそうです。したがって、音楽活動に積極的にかかわらないのは絆が壊れることだと主張し、社会に悪影響をもたらすだろうと述べています。

…というのが前置きで、突然場面緘黙に言及し、いよいよ歌唱場面での緘黙(SMS)なる概念が登場するわけであります。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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