2013年08月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

実用段階ではないものの、精神疾患、発達障害の人を脳スキャンで診断でき、他の精神疾病/発達障害との鑑別も可能であると主張する論文が増えています。そこで、今回はそれらに関する研究情報をまとめてみました。

なお、精神疾患、特に大うつ病への認知行動療法、薬物療法の影響は脳イメージングで予測可能です(追記:2014年1月8日)。

参考記事⇒認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ

ここでは、強迫性障害、うつ病、双極性障害、統合失調症、初回エピソード精神病、AD/HD、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、アルコール依存症、コカイン依存症、サイコパス、反社会性人格障害、境界性人格障害、摂食障害、社交不安障害で「神経科学的診断」がある程度の精度で可能であるという研究をとりあげます。

現時点でこれらの鑑別技術は場面緘黙症の診断に直接的な影響は及ぼさないものの、自閉症や統合失調症などとの鑑別という意味では間接的な影響があります。あるいは社交不安障害との関係を明らかにする上で役立つ可能性があります。

日本の研究についてはこちらをご覧ください⇒精神疾患を脳イメージングで診断できる時代へ(日本の研究)

また、社交不安障害(社会不安障害)の神経科学的鑑別については「社交不安障害とパニック障害の鑑別診断がfMRIで可能」や「健常者と社交不安障害の鑑別診断がMRI、fMRIで可能」をご覧ください。

ただし、私は専門家ではありませんからあくまでも参考程度にしてください。人工知能分野?の難解な技術用語を用いていますが、実は私にもよく分かっていませんw。理解できない方は技術的な用語は読み飛ばし、何の精神障害/発達障害をどの程度の精度で鑑別できるのかという点に着目してお読みください。

また、論文のアブストラクト(要約)しか読んでいませんから、以下の内容は「要約の要約」ということになります。さらにほとんどの研究で、サンプル数は健康人を入れても30人以上、多くて200人だということも頭の片隅に入れて置いてください。以下の論文において人数に言及しているのは大規模な時だけです。

*注意:精度(正確性)に関しては感度(Sensitivity)と特異度(Specificity)という用語が登場します。感度は実際に疾患に罹患している者の内、陽性と判断される人の割合です。特異度は罹患していない人の内、陰性と判断される人の割合です。簡単にいえば、感度は罹患者を見つけられるかどうか、特異度は病気にかかっていない人を正しく除外できるかどうかの指標です。

●背景

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ハーバード大学名誉教授のJerome Kagan氏が提唱した行動抑制。複数の研究成果を同時に分析するメタ分析によれば、乳幼児期の行動抑制は社交不安障害のリスクを7.59倍高めるといわれています(Clauss et al., 2012)

しかしながら、行動抑制児のすべてが成長してから何らかの精神的問題を抱えるわけではなく、他因子の同定が必要です。その1つが注意バイアスです。

関連記事⇒行動抑制+注意バイアス=ひきこもり

これまで、不安が高い人や社会的ひきこもり(social withdrawal)の人で注意バイアスを調べた研究はありました。しかし、本論文の筆者によると行動抑制の経歴を持つ人の注意バイアスを神経科学的に探究した研究はこれまでありませんでした。

そこで乳幼児期に行動抑制が認められた人が成人してから注意バイアスを計測した研究が実施されました。

なお、ここでいう社会的ひきこもり(social withdrawal)とは厚生労働省が定義するひきこもり(hikikomori)とは違います。

また、Jerome Kagan教授による行動抑制という概念についてはこちらをご覧ください⇒行動抑制の概念 by Jerome Kagan

*注意:Jerome Kagan教授の行動抑制と似た名前の概念として、Grayが提唱した行動抑制系(Behavioral inhibition system:BIS)というものがあります。Jerome Kagan教授の行動抑制とGrayの行動抑制系は別概念です。Grayの行動抑制系に関しては「トリプトファン枯渇で脅威に対する扁桃体/海馬の反応が増強」や「Grayの行動抑制系と前頭前野における脳波の非対称性」という記事をご覧ください。

Hardee, J. E., Benson, B. E., Bar-Haim, Y., Mogg, K., Bradley, B. P., Chen, G., Britton, J. C., Ernst, M., Fox, N. A., Pine, D. S., & Pérez-Edgar, K. (2013). Patterns of neural connectivity during an attention bias task moderate associations between early childhood temperament and internalizing symptoms in young adulthood. Biological Psychiatry, 74(4), 273-279.

★概要

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全般型の社交恐怖症の症状は社会的場面にだけ過剰な不安を抱くことなのに対し、全般性不安障害の症状は社会的場面以外のあらゆる状況にも不安や心配を抱くという違いがあります。

しかし、社交恐怖症全般型(社交不安障害全般型)と全般性不安障害は合併することがあります。全般性不安障害の患者の心配が社会的場面にも及ぶためであるというのが一つの解釈です。この仮説に基づけば、純粋な全般型社交恐怖症と全般性不安障害を合併している全般型社交恐怖症はその発症メカニズムが異なると考えられます。

それでは、社交恐怖症全般型と全般性不安障害には神経学的な違いが認められるのでしょうか?これが今回の主題です。

なお、以下では社交恐怖症全般型のみの患者をGSP(generalized social phobia)、全般性不安障害のみの患者をGAD(generalized anxiety disorder)、両者の合併者をGSP+GADとします。

Blair, K., Shaywitz, J., Smith, B. W., Rhodes, R., Geraci, M., Jones, M., McCaffrey, D., Vythilingam, M., Finger, E., Mondillo, K., Jacobs, M., Charney, D. S., Blair, R. J., Drevets, W. C., Pine, D. S. (2008). Response to emotional expressions in generalized social phobia and generalized anxiety disorder: evidence for separate disorders. American Journal of Psychiatry, 165(9), 1193-1202.

★概要

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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