2013年11月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

場面緘黙児の約50%に運動発達の遅れや運動機能の未熟さがあります(Kristensen, 2002)。運動機能の未熟さを排除すると、場面緘黙児の18%に運動発達の遅れがあるとされています(Steinhausen et al., 1996)。

スイスのチューリッヒ大学のSteinhausen et al.(1996)がいう運動発達の遅れとは、10ヶ月までに座らなかったり、18ヶ月までに歩かなかったという意味です。

一方、場面緘黙症の主な原因は(社会)不安であるとされています。事実、2013年公刊のDSM-5から場面緘黙症が不安障害となりました。

DSM-5とは米国精神医学会が発行している精神疾患の診断・統計マニュアル第5版のことです。

そこで、不安障害と運動スキルの未熟さとの関連を指摘した研究を調べてみました。

○不安障害児には運動が苦手な子が多い

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2013年9月24日、ナショナル・ルイス大学の学生紹介シリーズに登場した大学院生のRita Fieldさん。大学院で学校心理学を専攻しています。

Rita Fieldさんは実の娘が場面緘黙症になったことがきっかけで、教育・メンタルヘルス分野に進む決心がついたとのことです。 

タイトルに長女が場面緘黙症と「診断」されたことがきっかけで、と書きましたが、実際に診断されたかどうかは不明です。言葉の綾と思って下さい。

ナショナル・ルイス大学とはアメリカのシカゴにある大学のことです。

Rita Fieldさんは米国ミシガン大学で人類学・社会学の学士であるB.A. (Bachelor of Arts)を取得しました。その後、英国ロンドンに渡り、ミンスター・センター(The Minster Centre)から統合カウンセリングと心理療法の修士学(ミドルセックス大学認定)を得ました。

そして、長女が場面緘黙症になったことで、学校心理学の道を決心します。幼稚園・保育園関係者の場面緘黙症に対する理解が乏しく、長女のニーズに対応するのが難しかったことが背景にあります。

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ハーバード大学のJerome Kagan教授が提唱した行動抑制。

行動抑制とは見知らぬ人や音、物に近づかない傾向のことで、抑制気質ともよばれます。

抑制気質は社交不安障害(社会不安障害)のリスク因子です。ヴァンダービルト大学医学部が行ったメタ分析によれば、乳幼児期の行動抑制は社交不安障害のリスクを7.59倍高めます(Clauss et al., 2012)。

メタ分析とは複数の研究を同時に分析する研究手法のことです。

なお、行動抑制に関する基本事項はこちらを参照してください⇒行動抑制の概念 by Jerome Kagan

ところが、抑制気質がリスクとなるのは何も社交不安障害だけではありません。パニック障害、広場恐怖症、回避性障害、分離不安障害のリスクであるのはもちろんのこと、うつ病や自殺企図、物質使用問題、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のリスクでもあるのです。

そして、2013年には行動抑制が吃音のリスク要因であるとの研究も発表されました。

*「本当に場面緘黙児は抑制気質なのか?」で述べたように2013年現在、場面緘黙症と抑制気質に関する研究が発表されていません。それにもかかわらず、場面緘黙児は行動が抑制されているとの考えが既成事実化しつつあります。これは人間が持つ確証バイアス(Confirmation bias)を考えると、憂慮すべき事態です。

なお、確証バイアスとは自分の考え(信念)にあった情報を探し、信念に反した情報を探さない、あるいは過小評価するバイアスのことです。

○抑制気質になりやすいのはパニック障害、うつ病の親の子

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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