2014年07月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »  2014年07月

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

2014年7月23日のNHK総合テレビジョン「首都圏ネットワーク」、「首都圏ニュース845」で場面緘黙症(選択性緘黙症)に関する特集が放送されました。残念ながら、首都圏ネットワークHPの最新リポートなど、NHKの公式サイトにその要約が掲載されることはありませんでしたが、その動画がDailymotionという動画共有サービスに投稿されています(2014年7月29日現在)。ただし、NHKの許可を得ているのか分からないため、著作権法に抵触するかどうかは分かりません。

2014/7/23 首都圏ネットワーク「場面かん黙」を知ってますか... 投稿者 DDVIDEO_JP
*DDVIDEO_JPアカウントは「発達障害についての番組をアーカイブして」おられる方です。

私がこの動画を知ったのは大人(成人)発達障害のための就労支援施設 Necco(ネッコ) のHPの記事『NHK「首都圏ネットワーク」他にNeccoかんもくの会が登場』を通してです。実は私は首都圏ネットワークや首都圏ニュース845での場面緘黙症の放送動画がYouTubeに投稿されるかもしれないと思い、ずっと見張っていたのですが、少なくとも私が見つけた範囲ではDailymotionが先取りした形です。なお、Dailymotionの動画のリンク切れが発生した場合は代わりの動画を見つけ次第、逐次再掲載するかもしれません。それにYouTube動画を使用する可能性もありますが、果たして動画の投稿がされるかどうか…。

○首都圏ネットワークの場面緘黙の特集 -内容は?

スポンサードリンク

ここでは、全緘黙症についての本をとりあげます。場面緘黙症(選択性緘黙症)を主題とした本はあるし、それを紹介しているサイトはあるけれど、全緘黙症をテーマに書いた書籍を紹介しているブログ記事やサイトはネット上(日本語)ではみかけないからです。しかし、実際には全緘黙症に関する本もありますので、それを今回ご紹介したいと思います。ただし、全緘黙症を主題とした日本語の本は私の知る限りないので、英語の本に限ります。

*全緘黙症とは場面緘黙症とは違って、家族などを含めて全ての人に対して話せない症状のことをいいます。英語ではTotal mutismやProgressive mutismと呼ばれています。

○1冊目

本のタイトルは『My Sister's Voice Is Hiding In My Wardrobe - A Book About Progressive Mutism』で直訳すると、『妹の声が洋服ダンスに隠れている - 全緘黙症に関する本』です。2012年の出版です。アメリカの自費出版会社ルルエンタープライズのサイト(http://www.lulu.com/)で確認すると出版社は著者となっています。

この本はレイチェル・ポイル(Rachael Poyle)氏によって書かれたものです。レイチェル・ポイル氏は全緘黙症の娘さんの親御さんです。場面緘黙症に関する本はあるけれど、全緘黙症に関する本はないので落胆し、ご自身で本を執筆することを決意されました。実際に出版されているから、行動力があります。

スポンサードリンク

行動抑制(behavioral inhibition)が強い子供は新規で馴れていない物や人、状況に対して接近しようとせず、傍観する傾向にあります。メタ分析研究によれば、行動抑制は社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)のリスクを7.59倍高めます(Clauss et al., 2012)。また、行動抑制は過剰不安障害(全般性不安障害)や恐怖症、回避性障害、分離不安障害、うつ病、自殺企図、アルコール問題、薬物使用問題、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のリスクであるという研究もあります。

*行動抑制(抑制的気質)とはハーバード大学のJerome Kagan名誉教授が発見した気質のことです。詳しくはこちらをご覧ください⇒行動抑制の概念 by Jerome Kagan

*Clauss et al.(2012)とは以下の文献のことです。

Clauss, J. A., & Blackford, J. U. (2012). Behavioral inhibition and risk for developing social anxiety disorder: a meta-analytic study. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 51(10), 1066-1075. doi:10.1016/j.jaac.2012.08.002.

先行研究は乳幼児期に抑制的気質だと成長してから、金銭的な報酬課題で脳の報酬系(線条体)の活動が普通とは異なるということを示していました。それは特に自身の行為が報酬獲得の結果を左右すると思い込まされていた時に顕著(Bar-Haim et al., 2009)です。それだけでなく、乳幼児期の行動抑制と成長後の線条体の異常が合わさると、物質使用問題(薬物使用問題)が重篤になりやすく(Lahat et al., 2012)不安(親が評価)が高くなる(Pérez-Edgar et al., 2014)というように、近年は線条体の活動異常と精神的・行動的問題がつながっている可能性を示す研究がでてきました。

しかし、脳の報酬系は社会的交流・社会的相互作用にも関与しています。たとえば、マウスを被験体とした光遺伝学(オプトジェネティクス)の実験により、脳の報酬系(腹側被蓋野-側坐核)が社会的交流に因果的に関与していること(Gunaydin et al., 2014)が示されました。特に側坐核の、ドーパミン受容体であるD1受容体が重要で、この受容体を刺激すると社会的行動が増加するそうです(Gunaydin et al., 2014)。

しかし、先行研究では、金銭的報酬・罰に対する脳活動の異常性を調べたものばかりで、過去に抑制的気質だった人の脳が社会的報酬・罰に対する活動で異常を示すかどうかは調査されていませんでした。今回の論文はその問題に取り組んだ初めての研究になります。

スポンサードリンク

カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP