2014年08月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

定時制高校の緘黙生徒に対してキャリアカウンセリングを行った事例研究があります。キャリア発達課題を抱える定時制の緘黙高校生と支援員やクラス担任との具体的なカウンセリング場面を通じて、キャリア発達を促す要因を分析した研究です。これは全日制の高校生と比較して、定時制の高校生は特別な教育支援が必要な人が多いということが背景にあります。

福本啓介(2012). 定時制高校におけるキャリア・カウンセリングの在り方についての一考察 ー事例研究を通してー 川崎市総合教育センター研究紀要 26, 125-130.

この事例研究は緘黙そのものに関する文献ではないのですが、緘黙の高校生に対する進路支援事例ということで特筆に値すると思い、取り上げることにします。

○入学直後から緘黙のことを担任に伝えた保護者

保護者は入学直後から面談でクラス担任に緘黙のことを伝えていました。保護者は緘黙の我が子を支援する方法の1つとして筆談での対話もできるよう配慮を求めました。しかし、担任と保護者のどちらが先に面談をしようと言い出したのかは、本文からは判断できませんでした。あるいは学校の恒例行事として面談を実施したのかもしれません。

○緘黙が改善

NPO法人教育活動総合サポートセンターの支援員とのカウンセリングは定時制高校への入学後から行っていました。この段階でも緘黙症状が生じていました。しかし、2年生になり「おしゃべりタイム」の時間を設けるなどした効果かどうかはわかりませんが、3年生になると、悩みや将来のことについて打ち明けるようになりました。自分から喋れるようになるまで1~2年かかった計算になります(ただし、留年しているともうちょっと延びる)。これは33歳の社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)の女性の場面緘黙症状が数年で改善した事例研究(ただし、統合失調症の既往歴あり)と一致します。もしかしたらよっぽど重症でない限り、少なくとも一部の人に対する緘黙は1年か2年で改善することが多いのかもしれません。

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興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)と実験の目的・実験方法・実験結果を読んだ不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)・恐怖なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害を合併していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害(不安症)となりました。

今回は恐怖は触覚を鈍感にさせるというお話です。

*不安と恐怖は違います。不安とは不確かさや曖昧性が高い出来事や未来の事象に対して生じる比較的持続的な情動のことですが、恐怖とは目の前にあるネガティブ刺激や今現在起こっているネガティブな出来事に対して生じる、比較的短時間で終わる情動のことです。

なお、不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒2D:4Dの男女差が少ない国は性的平等性が高い

↑2D:4Dとは何ぞや?という方もいらっしゃるでしょうが、人差し指と薬指の長さの比のことです。2D:4Dは胎児期のホルモン暴露量を反映していると考えられており、様々な心理尺度・行動尺度との相関を求める研究が盛んに行われています。胎児期のテストステロン暴露量を2D:4Dから推定することで、その影響を間接的に測ろうということです。ちなみに男性の2D:4Dは女性の2D:4Dよりも低いことが分かっていて、これもホルモンの影響だと考えられています。

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興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)と研究手法、研究結果、考察の結論部分を読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です(後日全文読みました!)。

なぜ、社会不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児(選択性緘黙症児)は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回はインターネット認知行動療法+注意バイアス修正訓練(統制訓練)は社会不安障害患者に副作用をもたらすことがあるという研究です。

なお、社会不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒自我消耗は害ならず

↑心理学の自我消耗(ego depletion)という言葉をご存知でしょうか?自我消耗とは認知的制御が必要なことを行った後に、抑制が利かなくなり、衝動的になる現象のことです。それが自分を守る行動につながるというのがリンク先の記事になります。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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