2014年10月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

場面緘黙症Journalブログでも紹介されていた不安症研究掲載のレター論文『Selective mutismの訳語は「選択性緘黙」か「場面緘黙」か?』が一般公開されたので、本ブログでも取り上げたいと思います。

場面緘黙症Journalブログの記事⇒「選択性緘黙」を「場面緘黙」に変えようという論文

不安症研究は以前は不安障害研究と呼ばれていた雑誌です(英語名はAnxiety Disorder Research)。これは米国精神医学会のDSM-5(精神疾患の診断と統計マニュアル第5版)が公刊されたのをきっかけに不安障害が不安症に変更されたことに伴う措置です。ちなみに、学会名も日本不安障害学会から日本不安症学会に変更されています(英語名はJapanese Society of Anxiety and Related Disorders)。

久田信行・藤田継道・高木潤野・奥田健次・角田圭子(2014). Selective mutismの訳語は「選択性緘黙」か「場面緘黙」か? 不安症研究, 6(1), 4-6. doi:10.14389/adr.6.4, JOI:DN/JST.JSTAGE/adr/6.4.(英語ではHisata, N., Fujita, T., Takagi, J., Okuda, K., & Kakuta, K. (2014). A Proposal to Adopt “Bamen Kanmoku” Rather than “Sentakusei Kanmoku” as the Japanese Translation of “Selective Mutism”. Anxiety Disorder Research, 6(1), 4-6. doi:10.14389/adr.6.4, JOI:DN/JST.JSTAGE/adr/6.4.

このレター論文ではselective mutismの日本語訳をどうするかが問題になっています。選択性緘黙の歴史をDSM-IIIからDSM-IVへの変更を中心に振り返り、最後にDSM-5で不安症(Anxiety Disorders)になったことに言及しています。

当事者の意見としては緘黙だけにとらわれないで「動きが固まる,食事や排泄などの日常生活動作も困難になるなど」、他にも問題になることがあることへの理解が重要なことが取り上げられています。

○コメント

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広島大学の保健管理センターが大学生の社交不安障害に関する意識調査を実施しました。その結果が興味深いので、取り上げたいと思います。

*本ブログは基本的に社会不安障害と記載しています。これはなにも深い考えがあってのことではなく、単にウェブ検索では社交不安障害よりも社会不安障害の方が多いという事情によります(指標はGoogle トレンド2014年9月時点)。しかし、本記事では論文に則って社交不安障害とします。

三宅典恵・岡本百合・神人蘭・矢式寿子・内野悌司・磯部典子・高田純・小島奈々恵・二本松美里・横崎恭之・日山亨・吉原正治(2014). 社交不安障害に対する大学生の理解について 総合保健科学:広島大学保健管理センター研究論文集, 30, 1-6.(Miyake, Y., Okamoto, Y., Jinnin, R., Yashiki, H., Uchino, T., Isobe, N., Takata, J., Kojima, N., Nihonmatsu, M., Yokosaki, Y., Hiyama, T., & Yoshihara, M. (2014). University students' understanding of social anxiety disorder. Bulletin of General Health Research, Hiroshima University Health Service Center, 30, 1-6.)

序盤はレジュメ形式でお送りします。

○調査の背景

・社交不安障害は児童期から青年期に発症することが多く、不登校や引きこもり、学業困難のリスクとなり得る
・社交不安障害は二次的抑うつ症状・二次的気分障害(うつ病など)を引き起こす+うつ病等の併存は社交不安障害の予後や経過に悪影響
→以上の2つの理由から社交不安障害者への支援・治療が重要で、特に抑うつ症状の影響を踏まえると、早期の発見や治療介入が重要

○調査目的

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興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけを読んだ不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)・恐怖なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害を合併していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害(不安症)になりました。

今回は不安クリニックを訪問した子の93%が感覚過敏というお話です。Twitterで私をフォローしてくださっている臨床心理士の方にはすでに伝え申し上げた論文ですが、あらためてこのブログでも取り上げたいと思います。なお、この臨床心理士の方は愛着理論から場面緘黙症への介入を考える計画のようです。

不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒マインドフルネスでまなざしから心を読むことが上手になり、共感性も高まる

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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