2016年02月 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »  2016年02月

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

脳にはデフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network:DMN)と呼ばれる神経網が存在します。DMNとは課題遂行時よりも安静時に活動が高まる神経ネットワークのことです。DMNは内側前頭前野、後部帯状皮質/喫前部、下頭頂小葉、外側側頭皮質、海馬などで構成されています。DMNの機能に「自己内省(self-reflection)」があるという仮説があります。少なくとも部分的にはDMNは社会脳ネットワークと重なります。

*自己内省とは思考や記憶、感情など自己に内的な注意を向けることを言います。自己内省で将来のことを想像することもあります。DMNが自己内省の役割を担うというエビデンスは自己参照処理課題中に内側前頭前皮質や後帯状皮質の活動が高まるなどの知見です。

さて、そんなDMNが社交不安、それも報酬処理中の活動と関連するという論文をバージニア大学心理学部の研究者が発表されています。

Maresh, E. L., Allen, J. P., & Coan, J. A. (2014). Increased default mode network activity in socially anxious individuals during reward processing. Biology of Mood & Anxiety Disorders, 4:7. doi:10.1186/2045-5380-4-7.

★概要

スポンサードリンク

今回の不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文はPTSD(心的外傷後ストレス障害)についてです。ただし、PTSDはDSM-IVでは不安障害でしたが、現在はそうではありません。DSM-5でPTSDが心的外傷およびストレス因関連障害群という新章に移行し、不安障害から分離独立しています。なので、不安(障害)・恐怖に関する興味深い研究というカテゴリーに含めるかどうか迷いましたが、思い切って同じカテゴリーにしてみました。本論文をとりあげたのは場面緘黙症(選択性緘黙症)の研究に関する含蓄があると思ったからです。今回は論文本体をすべて読みました。

なぜ不安(障害)・恐怖というカテゴリーを設けているかというと、場面緘黙児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併発していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会(APA)が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害になりました。

今回は東日本大震災で被災した児童はPTSD症状が重いとコメディ(喜劇)を見ても無表情の時間が長いというお話です。

なお、不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒第一次世界大戦中は男性の自殺率が低かった(愛)
↑愛とは何事?と思われるかもしれませんが、アイルランドの研究ですので、アイルランドの漢字表記、愛蘭(土)の省略形として「愛」としました。論文ではフランスの社会学者、エミール・デュルケームの『自殺論(Le suicide:étude de sociologie)』の観点から考察されています。戦争中は個人の自殺願望(死にたい欲求)よりも外的脅威に対処する集団目標に焦点が移るので、第一次世界大戦中に自殺が少なくなったのではないかというロジックです。

スポンサードリンク

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)、調査方法、調査結果を読み込み、考察をさらっと流し読みした不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)・恐怖なのかというと、場面緘黙(選択性緘黙)児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併発していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会(APA)が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害になりました。

今回は不安障害は拒食症(神経性やせ症/神経性食欲不振症/神経性無食欲症)リスクを増加させるが、これは特に強迫性障害や男性で顕著というお話です。

なお、不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒腕時計をつける人は勤勉性が高く、時間に遅れない
↑日頃から腕時計をしている人の平均到着時間は約束時間よりも4.12分早く、腕時計をつけない人は0.90分早く到着するという結果が得られています。勤勉な人が腕時計をつけることが多いだけかもしれないと書きましたが、腕時計をはめていると時間意識が高まり、到着時刻が早くなるというenclothed cognition(服装化された認知)効果がある可能性も十分考えられます。enclothed cognitionとは服装が心や行動に影響するという意味です。

スポンサードリンク

カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP