注意バイアスはトップダウンで修正可能 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

不安障害の人には注意バイアスがあり、訓練によって修正できます。今回はそのメカニズムに迫った研究です。

Eldar, S., & Bar-Haim, Y. (2010). Neural plasticity in response to attention training in anxiety. Psychological Medicine, 40, 667-77.

★概要

大学生が参加し、不安が高い群と低い群にグループ分けしています。彼らに怒った顔から注意をそむけさせる訓練を実施しています(dot-probe課題)。否、正確には無表情の顔に注意を向けさせる訓練といえるかもしれません。当然、偽の訓練を受ける人も不安の高低に関わらず設定しています。

その結果、不安が高い大学生にだけ訓練の効果が認めらました(反応時間が指標)。また、顔に対するP2とP3という脳波の振幅が減少し、N2の振幅が増加しました。不安が高い参加者で訓練ではなく通常のdot-probe課題を行った場合、P2の振幅が増加し、N2の振幅が減少したのと対照的です。P2やP3、N2は注意のトップダウン処理に関与しています。注意プロセスの早期に関わるP1やN1といった脳波には訓練や不安の高さで差が認められませんでした。

★コメント

無表情の顔に注意を向けさせる訓練が不安の低い参加者ではなく、不安の高い参加者に影響したという結果は、それだけ不安が高い人は注意バイアスが高いと言えるでしょう。もっともこのdot-probe課題を用いた実験が本当に注意バイアスの指標や訓練として妥当であるという前提で、ですが…。

著者によれば、P2は顔に示される表情の処理に、N2は注意の制御に、P3振幅の減少は慣れを反映しているとのことです。私は脳波について詳しくないのでこれらの解釈が正しいかどうか判断できません。

注意バイアスの変化と状態不安の相関が、不安が高く訓練をした群だけに見られたとの結果も得られています。しかし、不安が高い群でも訓練による状態不安の減少が統計的に明確でないので、果たして脳波だけでなく不安にも効果があったのか疑問が残ります。

他にも実験協力者に女性が多いなど限界はあります。また、あくまで不安の高い人での結果であり、「不安障害」の人も同じメカニズムが関わってくるのかは分かりません。

今回は脳波データでしたが、fMRI(機能的磁気共鳴画像)などの方法でも注意の歪みがトップダウン処理で減少するといったことを示す必要があり、さらなる研究が必要です。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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