シャイな子は目を見る時間が長い | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   シャイネスの研究  »  シャイな子は目を見る時間が長い

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

社会不安が高い人はアイコンタクトを避けると考えるのが普通です(それを支持する研究もあります)。しかし、社会不安が高くても目を見るのを避けないどころか、長く見てしまうという研究もあるそうです。今回はこの結果がシャイ(恥ずかしがり屋)な子でも認められるか調べた論文をとりあげます。

Brunet, P. M., Heisz, J. J., Mondloch, C. J., Shore, D. I., & Schmidt, L. A. (2009). Shyness and face scanning in children. Journal of Anxiety Disorders , 23, 909-914.

★概要

11歳の子どもたちが研究に協力しています。シャイ度は母親に対する質問紙(Colorado Childhood Temparament Inventory;CCTI)の質問項目により評定。

顔刺激は1.目と口の形が違うセット2.顔の輪郭が違うセット3.顔のパーツ間の間隔が違うセットを用い、それぞれのセット内で2つの顔が同じかどうか判断させる課題を実施しました。

なお、元となる顔はすべての刺激セットにおいて同じものを使用しています。また、これらとは全く異なる顔も使用しています。

上記の課題実施中、EyeLink IIという眼球運動測定装置で目の動きをとらえています。初めの顔と次に出てきた顔が同じかどうか判断させるわけですが、2回目の呈示時だけ眼球運動を測定しています。

結果、シャイ度が高い子は①目と口の形が違うセットで左目を見る時間が長く②顔の輪郭が違うセットで初めに着目するのが鼻ではなく左目である傾向③口を見ない傾向という結果が得られました。

なお、顔のパーツ間の間隔が違うセットや全く異なる顔では有意な結果が得られませんでした。CCTI質問紙での社交性と顔の観察パターンとの関係も認められませんでした。

恥ずかしがり屋かどうかに関わりなく、全体として目と口の形が違うセット以外で鼻に対する注目が長く、多い結果となりました。

★コメント

シャイな人がアイコンタクトを避ける傾向にあるという考えと今回の結果は矛盾するように見えます。そこで、なぜ一貫した結果が得られないのか考えてみました。ただし、話を簡単にするため方法論的問題(尺度/測度/課題の違い、技術的進歩など)は除外しています。

1.シャイな人たちには複数のサブグループが存在する。

実は昔からシャイには少なくとも2つのタイプが存在するといわれています(後にブログで記事にするかもしれません)。シャイな人には目を避ける人と見続ける人がいると考えることで矛盾を解消できます。

2.シャイな人は普段はアイコンタクトを避けるが、能動的に見なければならない時に目に注意が向いてしまう。

以前に見た顔と同じかどうか判断するのですから、能動的に顔を見なければ課題を遂行できません。なので、シャイな人は普段は顔に注目するのを避けるものの、見なければならない状況に置かれた場合には目に注意が向いてしまうとも考えられます。脅威となる刺激に注意がむくバイアスと関連付けて考察できそうです。

3.実験状況が日常場面とは異なる

この実験は短い時間内に前後して見た顔が同じかどうか判断させるものです。社会生活を送る上で、このような状況は頻繁には起きないでしょう。したがって、今回の結果が人との普段の交流一般にあてはまるかどうかは分かりません。

4.実際にはシャイな人は目を見ることが多い

今回の結果を真に受けたものです。目に過剰注目するために、そこから伝えられる社会的情報に敏感になってしまうのでしょう。

○研究の限界

あくまで、「静止画」としての顔を見る時間を測定しているだけであって、実際の社会的場面とは違うことに注意が必要です。

現実には、世界は

1.3Dで、2Dではない

2.顔だけでなく、身体も関わる(ジェスチャーなど)

3.会話が可能

4.表情がダイナミックに変化

5.コンテキスト(文脈)が存在するなどの特徴があります。

著者も考察で述べているように、初めの数秒間での眼の動きだけを調べたという点にも注意がいります。また、実験に協力してくれた子たちの半数は男の子なのに顔刺激が女性しかないというのも研究の欠点となっています。

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP