95%以上の小学校・養護教諭は場面緘黙を知っている | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

2011年9月10日、愛知県医師会館で開催された東海学校保健学会において、場面緘黙症を知っている一般教諭/養護教諭は95%以上を占めるが、支援方法を知っているのは半数に満たないとの調査結果が報告されました。

杉森優・石原貴代(2011). 学校における場面緘黙に対する理解のあり方と支援―不安の視点から― 第54回東海学校保健学会総会講演集, 15. 

○調査の内容

2010年(平成22年)8月~9月に行われた調査です。

「無作為に抽出した愛知県と静岡県の公立小学校の一般教諭及び養護教諭、愛知県50校、静岡県50校、計100校、200名を対象に調査」し、「49校、計90名の回答を得」ました。

結果、『「場面緘黙症という言葉を知っている」98.9%、「場面緘黙症の症状を知っている」96.7%、「支援方法を知っている」40.9%』とのデータが得られました。

どのような方法で場面緘黙症を知ったのかは書かれていません。

大半の教師/養護教諭が緘黙症を知っているというのは子どもや保護者にとって朗報ですが、支援方法を知っている方が半数に満たないのは残念です。たとえ知っていても行動に移せるかどうかは教諭本人や周りの環境によります。

とはいえ、小学校教師/養護教諭に対しては具体的な緘黙児支援法を啓発すると良いという1つの方向性が得られたといえるでしょう。

さらに「支援方法を調べたことがある割合は一般教諭52.5%、養護教諭21.1%であった。支援をしたことがある割合は一般教諭57.9%、養護教諭33.3%」とあります。知っていたのに支援しなかった理由の第1位は「担任ではなかったから」という消極的な姿勢が嘆かわしいです。「特に支援する必要を感じなかったから」という理由もあげられていました。

○調査の限界-過度な一般化はできない-

私なりに考えた調査の限界を4つ書きます。

1.小学校教諭と養護教諭を対象にした調査です。中学校や高校/専門学校さらには大学/短大となると、認知度は低くなる可能性があります。

2.愛知県と静岡県で実施された調査です。2県はちょうど太平洋ベルトという工業地帯上にあるため、人口が比較的多い場所です。もっと田舎の方になると、認知度が低い可能性があります(逆に高いかもしれません)。

3.「場面緘黙症という言葉、症状を知っている」と95%以上の教師/養護教諭が回答したというだけで、知識の「深さ」を詳細に検討した調査ではありません。中には広汎性発達障害と緘黙症の関係や不安が原因で緘黙するといった事項を理解していないのに、イエスと回答した教職員の方もいらっしゃるかもしれません。

4.調査の回答率は学校別で計算すると49%、教諭別では45%です。もしかしたら、場面緘黙症なんて知らないから調査になんか協力したくないと考えた学校や教員もいるかもしれません。仮に回答を拒否したすべてが緘黙症の名称、症状を知らないのだとすると、認知度は50%にも達しません。

中学校の一般教師で場面緘黙症の認知度を調べた研究については以下の関連記事をご覧ください。

関連記事⇒中学校教師の約24%は選択性緘黙という言葉さえ知らない

○引用文献(2013年1月21日現在)
杉森優・石原貴代(2011). 学校における場面緘黙に対する理解のあり方と支援―不安の視点から― 第54回東海学校保健学会総会講演集, 15.
http://www.miyao.i.is.nagoya-u.ac.jp/tsha/wp-content/uploads/2011/05/54tsha.pdf

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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