SSRIの急性投与は幸福と恐怖の表情に対する認識力を高める | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)の効果は慢性投与(長期間の投与)と急性投与(短期間の投与)で大きな差があります。それは前者は抗不安作用を発揮するのに対し、後者は短期的にであれ不安を誘発する作用があることです。このことは動物実験でも確認されています。

そこで、SSRIの急性投与が表情の認識に与える影響を調べた論文を読みました。

Harmer, C. J., Bhagwagar, Z., Perrett, D. I., Völlm, B. A., Cowen, P. J., & Goodwin, G. M. (2003). Acute SSRI administration affects the processing of social cues in healthy volunteers. Neuropsychopharmacology, 28, 148-152.

★概要

これまでに一度も精神疾患と重篤な身体疾患を経験したことのない女性健常者24名(21-59歳)が被験者でした。彼女らをSSRIのシタロプラム(セレクサ)10mgを静脈投与する群と偽薬(プラセボ)を投与する群の2群に無作為に分けました。

SSRIまたは偽薬の投与後、表情認識課題(Facial expressin recognition task)を実施しました。この課題では500ミリ秒間提示された表情が何だったかを答えさせました。表情は幸福、悲しみ、恐怖、怒り、嫌悪の5種類でした(表情強度は10%刻み)。

結果、シタロプラムを投与された被験者群は幸福だけでなく、恐怖の表情までも早く、正確に知覚判断することができるようになりました(他の表情では変化なし)。認識能力の増加は主に40%、50%の表情強度で生じていました。

薬物投与によるムード変化の痕跡はありませんでした。

★コメント

以前読んだ論文(Harmer et al., 2004)では、SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を7日間、健常者に投与したら、幸せな表情に対する認識力が高まっただけでなく、恐怖や怒りの表情を幸福と勘違いしてしまうといった結果となっていました。急性投与で幸福だけでなく、恐怖表情の認識力も高まったという本結果とは対照的です。

急にSSRI投与を始めると、不安が強まることが臨床的にも動物による実験でも確認されています。それは脅威刺激に対する感受性が高まったことが背景にありそうです。

さらにいえば、これが思春期に多いとされる、SSRI投与の関与が疑われる自殺の一因なのかもしれません(もっとも、うつ病や不安障害を有していること自体が自殺リスクを高めると考えられるので、専門家でない私にはよく分かりません)。

今回実験に協力したのは女性だけという点には注意が必要です。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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