怒りの顔文字に過剰反応する社交不安障害 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

顔文字といったら語弊がありますが、本物の顔ではなくて、線画による顔(schematic faces)に脳が反応します!線画顔は"schematic faces"というキーワードで画像検索するとみることができます。

Google画像検索:”schematic faces”

schematic facesは図式顔と翻訳されることもあります。線画顔(図式顔)では理解しづらいので、タイトルに顔文字という表現を使用しました。怒らないでくださいね(^○^) ここでは、線画顔という表現で統一します。

なお、実際に顔文字を使った脳研究もあります(参考文献参照)。

Evans, K. C., Wright, C. I., Wedig, M. M., Gold, A. L., Pollack, M. H., & Rauch, S. L. (2008). A functional MRI study of amygdala responses to angry schematic faces in social anxiety disorder. Depression and anxiety, 25, 496-505.

★概要

社交不安障害(SAD)の者11名(10名が全般型)、健常者11名が参加しました。ただし、社交不安障害の人はSAD以外にも全般性不安障害を合併していたり、薬物乱用や大うつ病の経歴があったりと混絡因子が存在していました。

ぷんぷん怒っている線画顔や幸福表情の線画顔、無表情の線画顔を刺激材料としました。線画顔を鑑賞している間の脳活動をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で計測しました。

顔線画の呈示時間は200ミリ秒、刺激間間隔は300ミリ秒でした。

その結果、社交不安障害の人は健常者と比較して、無表情よりも怒りの線画に対して右扁桃体が活発に活動しました。扁桃体の活動度が社交不安の重篤度(Liebowitz Social Anxiety Scaleにより評価)と正の相関関係を示しました(社交不安が高ければ高いほど偏桃体が活発に活動)。

しかし、怒り表情と幸福表情を比較しても有意差は認められませんでした。

★コメント

通常は人間の生身の顔写真を刺激材料にすることが多いのですが、今回は線画による顔を実験材料としており、独特です。

生身の顔だけでなく、単なる線画による表情にも脳が反応するとは面白いものです。単なる線や点の集まりが怒り顔に見えるというだけで扁桃体が反応するのですから、脳はよくできています。

線画刺激を用いた実験は興味深いだけでなく、利点もあります。それは、人種や性別、年齢などの情報を含まない顔に対する脳反応を測定できることです。

ただし、幸せ表情の線画顔が本当に「これで幸せなのか?」という疑問を感じました。

また、今回はただ受動的に顔を見るだけでした。性別を判断させるなどの認知的負荷をかける方法とはまた違うので注意しましょう。

○参考文献(私は読んでいませんが、気になる方のために顔文字研究を紹介しておきます)

・湯浅将英・斉藤恵一・武川直樹(2008). fMRIによる顔文字と文を読むときの脳活動計測 : 言語・非言語コミュニケーションにおける脳活動を探る 電気学会論文誌, 128, 1797-1803.
(Brain Activity with Reading Sentences and Emoticons : An fMRI Study on Verbal and Nonverbal Communication)

CiNiiのURL(2013年5月6日現在)

http://ci.nii.ac.jp/naid/10024501167

次は顔文字に似た顔アイコンを用いた研究です(顔アイコンが可愛いです)。

・湯浅将英・斎藤恵一・武川直樹(2009). 創作した顔アイコンを見たときのfMRI脳計測. 電気学会論文誌, 129, 328-335.

PDFファイル(2013年5月6日現在)

m-yuasa.net/kao_icon_ieej2009.pdf

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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