緘黙症が脳に与える影響ー自閉症と紡錘状回顔領域の関係から | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

○紡錘状回顔領域とは?
顔を認識したり、短い間記憶する(短期記憶)ときに、活性化する脳部位があります。それは紡錘状回顔領域(Fusiform Face Area:FFA)です。FFAは側頭葉の底(下)にあります。実際、正常な人は顔を見ているときの方が顔以外のものを見ているときよりもFFAの活動が高まります。また、相対的に右側のFFAの方が活動が活発です。

○自閉症と紡錘状回顔領域(FFA)
対人関係の質的障害がある自閉症の人ではFFAの活動が芳しくありません。つまり、自閉症の人は他人の顔を見てもFFAが活性化しにくいのです。だからといって、先天的にFFAの活動が低いと決めつけるのは先走りです。自閉症は脳の先天的障害と考えられていますが、FFAも先天的に障害されていると決めつける根拠はありません。むしろ、後天的な要因がFFAの活動に影響していると考えられます。たとえば、幼い頃から他人とのコミュニケーションが上手くとれないために、FFAの発達が遅れることは十分ありえます。実際、健常人でもFFAは成人になるまで最終的な大きさになりません。

○緘黙症が脳に与える影響

緘黙症児はある特定(もしくは全ての)の社会的場面で緊張や不安を感じ、話せなくなってしまいます。この症状はほとんど年齢が1桁のころに現れるようです。なので、もし成人になるまで発達を続け、コミュニケーションに関わるFFAのような脳領域―もちろんFFAそのものでも良い―があれば、それと緘黙症との関係が気になるところです。もしかしたら自閉症のFFAのように緘黙症が後天的に脳の発達に影響するかもしれません。まだ緘黙症に関する研究、特に神経学的研究は進展していませんので、今後の進展を望みます。

※注 紡錘状回顔領域(FFA)は顔の認識だけにとどまりません。牛や自動車の専門家のFFAがそれらを見ているときに活性化し、専門ではない人のFFAは活性化しないのです。また人種の識別にもFFAは関与しているようです。つまり、FFAは顔だけでなく、その他の複雑な対象を認識することに関与しています。専門家云々の件はFFAが後天的な(学習の)影響をうけることを示しています。

・ちなみに場所に関する短期記憶は海馬傍回場所領域を活性化させます。場所と海馬傍回場所領域の関係が注目される所以です。←独り言。

参考文献
ニール・R・カールソン(著) 泰羅雅登・中村克樹(監訳)(2010). 第3版 カールソン 神経科学テキスト 脳と行動 丸善株式会社

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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