NHKの緘黙報道は長期的には民放と大差なし-スリーパー効果- | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   心理学的・行動経済学的な緘黙症の啓発戦略他  »  NHKの緘黙報道は長期的には民放と大差なし-スリーパー効果-

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

(場面)緘黙症に関するブログや掲示板を読んでいると時々、NHKの報道に無条件に期待するような主張に出くわすことがあります。しかし、大学で心理学を専攻した私としてはその種の論調に素直に賛同できません。それは、スリーパー効果なる現象が存在しているからです。

○スリーパー効果(sleeper effect)とは?ー放送業界との関連性ー

スリーパー効果とは信憑性の低い人の説得効果が、時間が経つにつれて上がっていくという現象のことです。私は専門家ではないため、詳細はネットや書籍でご確認ください。

以下はスリッパー効果がNHK対民放(民間放送)の場合にもあてはまることを前提としてのお話です。テレビの放送業界でスリッパー効果が生じない可能性も十二分に考慮する必要があります。

日本に住む人のほとんどが、民放よりもNHKの方が信頼性が高いと信じているとするならば、(場面)緘黙症に関する報道はNHKの方が最初は影響力があると考えられます。しかしながら、相対的に信頼性の低い民放との差は時間とともに消失していきます。それは、(相対的に)信頼性の低い情報源は時間の経過とともに説得力が増していくためです(スリーパー効果)。ゆえに、長期的には(場面)緘黙症に関する報道の影響力にはNHKと民放との間に大差は生じません。

短期的にはNHKの方が強いでしょうが、長期的には民間放送(民放)との差は小さくなるので、NHKか民放かということは気にしなくていいのです。実際のところ、NHKよりも民放の方が分が良いとも考えられます。なにせ、NHKのチャンネル数よりも民放のチャンネル数の方が多いのですから。

もちろん情報の質という点ではNHKの方が民放よりも勝るのかもしれません。また、心理学の実験は1~3つぐらいの条件を変えて実施する場合が多く、情報の質を統制している(=情報が同じ質)場合があります。したがって、スリーパー効果は情報の質を考慮に入れた場合、生じないのかもしれません。ただし、長期的な視点に立った場合、記憶の劣化などが生じるため、情報の質がどれだけの効力を持ち得るのか疑問符がつきます。

もちろん、NHKが(場面)緘黙症に関する報道を連続的ではなく、断続的に行う場合には非常に心強いでしょう。連続的な報道も良いですが、時間経過に伴う忘却と世代交代、スリーパー効果を考慮すると、断続的な報道の方が重要だと私は考えます。もちろん、連続的企画を断続的に報道する方が望ましいことです。

ただし、そのようなことを期待するのは非現実的ですし、(場面)緘黙症のことばかり報道していると他の身体疾患、精神疾患あるいは社会的問題に関する情報提供が滞りかねません。

もっともNHKの方でも全く放送がないよりは、少しでもあった方が良いという思いは私も変わりません。NHKの報道をきっかけに他のメディア媒体に何らかの波及効果が生じる可能性もあり、一概にNHKの影響力を切って捨てるわけにもいきません。特にNHK報道はYahoo!JAPANをはじめとした主要なニュースサイトの記事の材料として採用される可能性を秘めています(私の勝手な想像)。

ただし、TVのチャンネル数には都道府県ごとに違いがあり、それが各番組の視聴率に影響してくることにも留意すべきです。また、放送時間帯によっても視聴率や視聴者層が異なります。

まとまりのない記事になってしまいましたが、スリーパー効果を考慮すると、NHKの影響力を絶対視/過大視するのは危険です。

ただし、これはあくまでも(場面)緘黙症にあまり関心のない方々を対象とした話です。私のように(場面)緘黙症に絶大な関心を抱いている人、あるいはNHKの報道をきっかけに自分が(場面)緘黙症だったと知った方にとってはNHKの報道は忘れられない思い出の1つになるでしょう。

※注意:スリーパー効果における説得効果とはいったい何を意味するのか論文を読んでみないことには判然としないものがあります。説得効果を定量化する際に考えられる指標の内、1つは記憶における想起率です(私の勝手な推測)。

なお、2013年2月13日に日本テレビのザ!世界仰天ニュースで放送された『静かな少女の秘密』の影響に関しては「Wikipediaでの緘黙ページビュー(アクセス数)の推移」という記事で取り上げました。『静かな少女の秘密』には元場面緘黙症だというカースティー・ヘイズルウッド(Kirsty Heslewood)さんが登場しました(厳密には少女は役者で最後のインタビューだけが本人)。なお、Kirsty Heslewoodさんは日本語ではカースティ・ヘィズルウッドさんとも呼ばれます。

また、GoogleトレンドというサイトではGoogle検索で入力された検索語数の推移を相対グラフで視覚的に確認することができます。

ただし、Googleトレンドのグラフを解釈する際には注意点があります。

参考記事⇒緘黙の検索トレンドを適切に理解するために

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP