Google Books収録の本に登場する緘黙症の出現頻度 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   緘黙の検索、アクセス数のトレンドと本での出現頻度  »  Google Books収録の本に登場する緘黙症の出現頻度

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

Google Books Ngram Viewer(Google Labs開発)というサイトがあります。

これはGoogle社がデジタル化した図書データをもとに書籍の中で特定の言葉、フレーズの使用頻度をグラフにするツールです。 5000億の単語を集積したGoogle Booksのコーパスを利用し、数百万もの書籍データから言葉の使われ方の変化を調べることができます。

Google BooksとはGoogle社が提供する書籍の全文検索サービスのことです。

残念ながら、2013年11月現在、日本語での検索はできませんが、英語で「場面緘黙症」の使用頻度を調べてみました。

と、その前にGoogle Books Ngram Viewerを利用する際の注意事項に言及しておかなくては。間違った解釈の原因になりますので。

○注意事項

Google Books Ngram Viewerでは大文字と小文字を区別できます。しかし、検索ボックス右側のcase-insensitiveにチェックを入れれば、大文字と小文字を区別しない検索が可能です。以下はcase-insensitiveにチェックを入れた結果です。

デフォルトでsmoothingは3に設定されています。smoothingを0に設定すると生のデータ、ローデータ(raw data)が得られます。以下はsmoothingを0にした結果です(例外あり)。

smoothingとは前後の年数を平均して結果を出すという意味です。Google社は前後年の平均の方が傾向を示すのに都合が良いことから、smoothingの設定を行えるようにしています。

○本でのselective mutism(場面緘黙症)の出現頻度

では、あらためてselective mutism(場面緘黙症)という言葉の使用頻度を探っていきましょう。

selective mutism,elective mutism,total mutismの比較⇒Google Books Ngram Viewerでの検索結果

なお、selective mutismは場面緘黙症(選択性緘黙症)、elective mutismは場面緘黙症の旧称、total mutismは全緘黙症のことです。

以下はGoogle Books Ngram Viewerのグラフを見て私が気付いたことです。

・total mutism(全緘黙症)は1906年、1923年、1945年に使用されたことがあり、elective mutismやselective mutismよりも早い。

・1949年にelective mutismが登場。

・selective mutismの使用頻度が急増したのは1994。

*elective mutismを捨て、selective mutismを採用したアメリカ精神医学会のDSM-IV(精神障害の診断・統計マニュアル第4版)が公刊されたのも1994年。

・elective mutismの最盛期は1993年。

・1998年以降、selective mutismがelective mutismにとってかわる。

・アメリカ英語ではselective mutismがelective mutismを上回ったのは1998年だが、イギリス英語では1990年、1994年と単発的ながらもすでにselective mutismが突出している年がある。

*アメリカ英語に限定した比較⇒Google Books Ngram Viewer(アメリカ英語)

*イギリス英語に限定した比較⇒Google Books Ngram Viewer(イギリス英語)

*イギリス英語では変動が激しいため、smoothingを1以上に設定した方が良いかもしれません。

ただし、EnglishとEnglish(2009)、American EnglishとAmerican English(2009)、British EnglishとBritish English(2009)では結果が異なるようです。English One Millionというのもありますが、私にはよく分かりません。

アスタリスク(*)を使ったワイルドカード検索もできます。

ワイルドカード検索とは単語やフレーズの分からない箇所をアスタリスクに置き換える検索のことです。これにより、分からなかった箇所が判明することがあります。

*ワイルドカード検索とcase-insensitive検索の組み合わせは不可能です。

ワイルドカード検索⇒Google Books Ngram Viewerで"* mutism"と検索

*ワイルドカード検索では変動が激しいため、smoothingを1以上に設定した方が良いかもしれません。

1887年にdeaf mutism(聾無言症?)が突出していますから、その影響を取り除くために1900年や1950年以降に限定してグラフを表示すると、1960年代後半からelective mutismの割合が高まり、1980年、1990以降では場面緘黙症がほとんど常にdeaf mutismやakinetic mutism(無動無言症)を抑え、1位になっています(elective mutismとselective mutismの合計で計算)。

期間を変えれば違う結果が得られます(例:akinetic mutismは1979年までelective mutismを上回っていたが、その後逆転。2001年からさらに逆転し、結局akinetic mutismの方が多い)

この他にも、English Fiction(英語フィクション)に限定した検索も可能で、Google Books Ngram Viewerは面白いですよ。

英語フィクションに登場する場面緘黙症⇒Google Books Ngram Viewer(英語フィクション)

*英語フィクションの検索では変動が激しいため、smoothingを1以上に設定した方が良いかもしれません。

ただし、English FictionとEnglish Fiction2009とでは結果が異なるようです。

○場面緘黙症と発達障害などの比較

prosopagnosia(相貌失認)やautism spectrum disorders(自閉症スペクトラム障害)などとselective mutismの比較も面白いです。

相貌失認とは顔の認識や記憶ができない状態のことをいいます。

相貌失認、自閉症スペクトラム障害、場面緘黙症の比較⇒Google Books Ngram Viewer(相貌失認、自閉症スペクトラム障害、場面緘黙症)

*autism(自閉症)だと断トツ過ぎて勝負になりません。

特に相貌失認に関してはGoogleトレンドで、場面緘黙症の検索の方が上位だったにもかかわらず、近年伯仲の争いを示しています(以下の参考記事参照)。これは2013年5月に米国の俳優ブラッド・ピットが相貌失認を告白するまえから始まっている傾向です。

参考記事⇒緘黙の検索トレンドを適切に理解するために

参考URL(2013年11月11日現在)

Google Books Ngram Viewer

http://books.google.com/ngrams

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP