女の子は成長するにつれ、左扁桃体の活動が低下するが… | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

場面緘黙症は幼稚園や小学校に入園、入学したことがきっかけで発症することが多く、幼少期の脳発達に関する研究も重要です。

そこで、恐れの表情に対する脳の反応を幼少期から思春期にわたって調べた論文を読みました。特に性差を検討した研究です。

Killgore, W. D., Oki, M., & Yurgelun-Todd, D. A. (2001). Sex-specific developmental changes in amygdala responses to affective faces. Neuroreport, 12(2), 427-433.

★概要

参加者は健康な19人の子どもや青少年でした。年齢は9~17歳でした(平均年齢は13.5歳)。9人が男性で、10人が女性でした。

写真刺激は恐怖の表情を用いました。統制刺激はスクリーン中央部に表示される白円でした。

ただ単に恐れの表情を見るだけですが、被験者には脳イメージングの各セッション後に表情の種類を回答してもらいました。

脳反応の計測はfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で実施しました。

結果、女性では年齢が上がるにつれて、左扁桃体の活動が低下したのに対し、男性では年齢と扁桃体活動に有意な相関は見出せませんでした。

左背外側前頭前野に関しては、男性で年齢が上がるにつれて活動が低下したの対して、女性では年齢が上がるにつれ活動が増加しました(ただし、女性は有意傾向にとどまる)。

脳活動の差【背外側前頭前野-扁桃体(同側)】を求めたところ、女性でのみ年齢の増加に伴って脳活動も強まりました(左半球だけ)。

★コメント

研究グループは本論文で見られてた性差を思春期のホルモンの影響や男女による注意能力/注意方略の違いと関連付けて考察しています。

本研究は恐怖の表情に対する脳活動を調査しているのですが、平均年齢が約11歳の男児の扁桃体は恐れの表情よりも無表情に反応する(Thomas et al., 2001)との研究もあるので、無表情に対する脳活動の発達的変化を調べるのも面白いでしょう。

女性では年齢が上になるにつれ、左扁桃体の活動が低くなり、男性では有意な結果は検出されませんでした。ただ、サンプル数が少ないので、今後の検証を待つ必要があります。

通常、神経科学的な研究では暗黙の了解として右利きの被験者だけで実験をします。しかし、今回は左利きの被験者が6名混じっており、その影響が懸念されます。

これまた通常のfMRI研究なら「恐れの表情ー無表情」のように表情の影響だけを抽出するのですが、今回は恐れの表情だけしか使っていません。したがって、今回の結果は恐怖の表情に対する脳活動を反映しているのか、それとも顔一般に対する脳活動を反映しているのか分かりません。

本来なら被験者を追跡する縦断研究が望ましいのですが、今回は異なる年齢層の人を同時期にfMRIスキャンする横断研究でした。

○男性で相関関係が認められなかったのは統計的な問題のせい?ー切断効果ー

今回の女性被験者は年齢が9~17歳と比較的ばらついていたのに対し、男性では11歳~15歳とばらつきが少ないことが欠点です。相関関係を調べる際に偏った特性のサンプルばかりだと、有意な相関関係が得られなくなる可能性が高まる(切断効果)ので、それで見かけ上、男性に有意な相関関係が検出できなくなった可能性があります。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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