社会不安障害患者はポジティブ刺激から注意を逸らすのが早い | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   社交不安(社会不安)に関する興味深い研究  »  社会不安障害患者はポジティブ刺激から注意を逸らすのが早い

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけ読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが、最新の研究成果です。

なぜ、社会不安なのかというと、場面緘黙症児は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は社会不安障害患者はポジティブな情動刺激(おそらく笑顔)から注意を逸らすのが早いという研究です。

なお、社会不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

Chen, N. T., Clarke, P. J., MacLeod, C., & Guastella, A. J. (2012). Biased attentional processing of positive stimuli in social anxiety disorder: An eye movement study. Cognitive Behaviour Therapy, 41(2), 96-107. DOI:10.1080/16506073.2012.666562.

オーストラリアのシドニー大学にある脳・心研究所(Brain and Mind Research Institute)と西オーストラリア大学心理学教室の合同研究です。

社会的情動刺激に対する社会不安障害患者の眼球運動(視線)を直接調べました。おそらくアイトラッカー(アイトラッキング)で表情に対する視線を画像化・定量化したのだと思います。

その結果、社会不安障害患者はポジティブな情動刺激から注意を逸らすのが素早く、全ての情動刺激に対して総注視時間が減少していました(健常対照群との比較)。

さらに、社会不安障害患者で、ポジティブ刺激の注視時間が短いと、状態不安が高いことが判明しました。

これらの結果から、社会不安障害患者はネガティブ刺激だけでなく、ポジティブ刺激に対する反応も異常であることが分かります。社会不安障害患者は、話し言葉に含まれる幸福感を認識するのが苦手だという実験結果もありますしね(以下の参考記事参照のこと)。

参考記事⇒社会不安障害患者に音楽の幸福感を認識する訓練

なお、社会不安障害患者のネガティブ刺激への反応の異常さは「怒りの顔文字に過剰反応する社交不安障害」や「自分が非難される文を読むと…」を参照して下さい。

より一般的に、不安とネガティブ刺激の認知の関係を知りたい方は「不安が強い人は恐れの表情を見た時間を長く感じる」や「不安の高低によって恐怖、幸福の表情の認識に違いがある」、「不安の一因は選択的注意の歪み」等をご覧ください。

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP