注意バイアスでCyberballによる社会的排斥で不安が高まりやすくなる | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   社交不安(社会不安)に関する興味深い研究  »  注意バイアスでCyberballによる社会的排斥で不安が高まりやすくなる

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)と本文を少しだけ読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ、社会不安なのかというと、場面緘黙症児は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は注意バイアスの形成で社会的排斥により不安が高まりやすくなるという研究です。

なお、社会不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒自然の擬人化は自然災害の被災者に対する援助意図を低下させる

Heeren, A., Peschard, V., & Philippot, P. (2012). The causal role of attentional bias for threat cues in social anxiety: A test on a cyber-ostracism task. Cognitive Therapy & Research, 36(5), 512-521. DOI:10.1007/s10608-011-9394-7.

ベルギーのルーヴァン・カトリック大学心理学研究所とベルギー国立科学研究基金(ブリュッセル)の合同研究です。

○背景

注意バイアス(attentional bias,attention bias)は不安の維持、形成(Eldar et al., 2008)に重要な役割を果たしているとされています。また、注意バイアスは修正可能(Eldar et al., 2010)で、認知行動療法のメカニズムに注意バイアスの変化があると主張する研究者(Legerstee et al., 2010)もいます。

ネガティブ表情から笑顔を見つける注意バイアスの修正訓練が社会恐怖を低下させたとの報告(De Voogd et al., 2014)や脳波フィードバックで注意バイアスと特性不安が減少したという報告(Wang et al., 2013)もあります。2014年初頭にはスマートフォンで注意バイアス修正訓練を実施したという初のランダム化比較試験(RCT)が報告されました。

参考記事⇒スマートフォンで注意バイアス修正訓練→社会不安が減少?

しかし、単なる不安ではなく、社会的不安の原因が注意バイアスであるとする科学的エビデンス(科学的根拠)はありませんでした。そこで、それを実証しようとしたのが本研究になります。

○実験手続き

注意バイアスの誘導はdot-probe 課題(dot-probe task)で行いました。dot-probe課題についてはPérez-Edgar et al.(2010)などの他「背景」に貼ったリンク先をご覧ください。

被験者をdot-probe課題で嫌悪表情に対する注意バイアスを形成させる群と注意バイアスを形成させない群とにグループ分けしました。

注意バイアスの形成訓練(または無形成訓練)の後、サイバーボール課題(Cyberball task)を行いました。

サイバーボール課題とは社会的排斥(社会的排除)の実験パラダイムのことで、社会心理学や発達心理学、精神医学など広範な分野で使用されている研究方法です。

サイバーボール課題ではキャッチボールをします。といっても、実際に野球道具を用いてするのではなく、コンピュータ上でします。また、2人ではなく、3人以上でします(実際には被験者以外はコンピュータ)。で、ボールが自分のところに来ないで、他のプレーヤーばかりキャッチボールをしている状況が被験者が社会的排斥を受けている状況だというわけです。

本実験の結果は注意バイアスを形成した群は無形成群と比較して、サイバーボール課題で社会的排斥に合うと、不安が高まったというものでした。

先行研究では、子どもに怒り表情への注意バイアスを形成させると、解決不可能なパズルの問題に取り組んだ後に不安が高まることが示されていました。今回は大人の実験ですので、子どもでも注意バイアスの形成により社会的排斥による不安の高まりが強くなるのか調査する必要があります。

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP