7.5%濃度の二酸化炭素を吸い不安になると、ネガティブ写真に敏感になる | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけ読んだ、不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが、最新の研究成果です。

*今回読んだのはアブストラクトだけではありません。実験方法と結果の一部も読みました。

なぜ、不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は7.5%濃度の二酸化炭素を吸うと、ネガティブ写真に敏感になるという研究です。ネガティブ刺激への敏感性は不安が高い人や不安障害者の特徴ですから、興味深いのです。

7.5%の二酸化炭素吸引実験とは抗不安薬の試験等に使用される研究パラダイムのことです。実際、7.5%濃度の二酸化炭素吸引は不安だけでなく、心拍数、血圧などの生理学的興奮も高めます。

ただし、7.5%の二酸化炭素吸引による不安の高まりは35%の二酸化炭素吸引によるパニックとはまた違うものです。35%の二酸化炭素吸引実験に関しては以下の参考記事をご覧ください。

参考記事⇒CO2吸引によるパニック発作、恐怖に扁桃体は必要ない

なお、不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

個人的に衝撃的だった研究⇒アルツハイマー病遺伝子の影響は赤ちゃん時代から現れている

Garner, M., Attwood, A., Baldwin, D. S., James, A., & Munafò, M. R. (2011). Inhalation of 7.5% carbon dioxide increases threat processing in humans. Neuropsychopharmacology, 36(8), 1557-1562. doi:10.1038/npp.2011.15.

英国サウサンプトン大学医学部臨床神経科学部門・心理学部とブリストル大学実験心理学部の合同研究です。

○実験手続き

精神疾患や身体疾患のない健常者が情動アンチサッケード課題(emotional antisaccade task)を行いました。

情動アンチサッケード課題とは情動写真に視線を向けるか、それとも反対方向に逸らせるかを指示に従って被験者に行わせる課題です。

ちなみに、サッケードとは見たいものを見るために眼球運動をするという意味です。

本実験ではネガティブな情動写真と中性的な情動写真を用いました。

情動アンチサッケード課題を濃度7.5%の二酸化炭素または空気を吸いながら行わせました。

○実験結果

二酸化炭素吸引条件で状態不安・ネガティブ感情・血圧・心拍数が増加し、ポジティブ感情が減少しました(空気吸引条件やベースラインとの比較)。

*状態不安はSpielberger et al(1983).の状態・特性不安検査(state-trait anxiety inventory)の状態不安得点、ネガティブ感情・ポジティブ感情はWatson et al(1988).のポジティブ感情・ネガティブ感情尺度(positive and negative affect)で評価。

視線を写真とは逆方向に向けなければならないアンチサッケード条件において、二酸化炭素吸引で、ネガティブ写真に対して誤って視線を向けることが多くなりました(中性写真との比較)。二酸化炭素吸引で血圧が高くなればなるほど、視線の間違いが多くなりました(正の相関関係)。

二酸化炭素吸引による血圧増加と正の相関を示したのは、視線の間違い以外にもありました。それはアンチサッケード条件でネガティブ写真から視線を逸らすまでの時間でした。

これらの結果は二酸化炭素吸引によりネガティブ写真への抑制ができなくなることを示唆しています。

また、二酸化炭素吸引による血圧増加が大きければ大きいほど、視線を写真に向けなければならないプロサッケード条件において、ネガティブ写真に視線を向けるまでの時間が短くなりました(中性写真との比較)。これはネガティブ写真の抑制不能とは違って、過警戒・過覚醒(hypervigilance)状態の高まりを示唆しています。

以上の結果から、二酸化炭素吸引による不安の高まりはネガティブ写真への注意に影響することが示されました。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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