演説の予期(不安)で怒り表情の処理が促進される | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)を読み、本文を少しだけかじった、不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は演説の予期または予期不安で怒り表情の処理が促進されるというお話です。

なお、不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒セラピストと患者の声のピッチが同期しているほど、関係性が悪い

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Wieser, M. J., Pauli, P., Reicherts, P., & Mühlberger, A. (2010). Don't look at me in anger! Enhanced processing of angry faces in anticipation of public speaking. Psychophysiology, 47(2), 271-280. DOI:10.1111/j.1469-8986.2009.00938.x.

ドイツのユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク心理学・生物学的心理学・臨床心理学・心理療法学部の方々の研究です。

○実験の目的

演説(public speaking)の予期中に怒り表情をどのように捉えているかを調査すること。

○実験手続き

皆の前で演説をするように教示して不安を煽りました(予期不安の惹起)。統制群には短いエッセーを書いてもらうと教示しました。演説またはエッセー執筆の前の予期段階中に怒り、幸福、中性の表情を見せました。と同時に脳波(EEG)も記録しました。

*演説の教示で状態不安が高まることが確認されています(エッセー群との比較)。質問紙は状態ー特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory:STAI)を使用。

○実験結果

演説予期群では怒り表情に対するN170という事象関連電位(ERP)の振幅が高まり、Early Posterior Negativity(EPN)という陰性電位が増幅しました(幸福表情・中性表情との比較)。

事象関連電位N170とは顔刺激に対して特に強い反応を示す陰性電位のことで、刺激呈示後140msから生じ始めます。Early Posterior Negativityとは中性表情よりも情動表情に対して振幅が大きくなる陰性電位のことで、刺激呈示後200ms~400msに生じます。Early Posterior Negativityは顕著刺激に対する注意を反映していると考えられています。

したがって、これらの結果は演説を予期していると、脳の顔刺激の処理様式が変化することを意味します。特に怒り表情に対する処理が促進されることが示唆されます。ただし本実験だけでは、演説の予期不安の影響かどうかは断定できません。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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