アイコンタクトが少ない状況は社会不安が高い人にとって不安 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけ読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが、最新の研究成果です。

なぜ、社会不安なのかというと、場面緘黙症児は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回はアイコンタクトが少ない状況は社会不安が高い人にとって不安であるという研究です。

なお、社会不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

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Langer, J. K., & Rodebaugh, T. L. (2013). Social anxiety and gaze avoidance: Averting gaze but not anxiety. Cognitive Therapy & Research, 37(6), 1110-1120. DOI:10.1007/s10608-013-9546-z.

米国ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の研究です。

○背景

社会不安が高い人はアイコンタクトを避けるとされます。社会不安の認知理論では視線の回避は社会的脅威のシグナルを避ける役割を果たしているとされます。しかし、実際にアイコンタクトの回避が不安の低下に役立つかどうかは分かりません。

○目的

社会不安が高い人が他者との会話で視線を回避することが不安の低減に役立つかどうか検証する。

○実験手続き

被験者には他の大学生と社会的交流をしてもらいました。社会的交流の途中からアイコンタクトを実験的に操作しました。実験的操作といっても、たいそうなものではなく、「アイコンタクトを増やせ」「アイコンタクトを減らせ」「同じままで」と被験者に指示するだけです。

○実験結果

「アイコンタクトを減らせ」の教示条件が社会不安が高い人にとって最も不安を引き起こしました。

○考察

研究者はこの結果を安全行動/安全確保行動/安全保障行動(safety behaviors)との関連から考察しています。安全行動とはアイコンタクトを避けたり、注目を浴びるような行動を避けることで、不安を下げようとする行動のことです。

ところが、実際には安全行動をとると、社会的不安を引き起こす状況を経験しないままになってしまうので、否定的な解釈や信念、予測のバイアスが修正されないままになります。したがって、安全行動は逆に不安を維持する結果となります。

本研究ではアイコンタクトを減らせという実験者の教示通りの行動が安全行動に該当します。ゆえに、安全行動は不安の低減に有効でない(または逆効果である)という知見と一致していると研究者は考察しています。

○余談:場面緘黙症と安全行動

場面緘黙症の人は話すことへの不安が高いとされますが、緘黙そのものが安全行動になっている可能性があります。機会があれば、安全行動に関する先行研究をまとめてみたいと思います。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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