緘黙青年が登場し、数々の受賞歴を誇る映画『こんばんは』 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

夜間中学校の記録映画『こんばんは』に秋元伸一さんという緘黙青年が登場します。秋元伸一さんは母親以外とは口をきけない場面緘黙児・者でした。ただし、正式な診断があったかどうかは不明です。愛称はしんちゃん(伸ちゃん)です。

『こんばんは』に登場する秋元伸一さんは17歳という設定です。舞台は東京都墨田区立文花中学夜間学級(夜間中学)です。

全国夜間中学校研究会の『義務教育等学習機会充実に向けた「超党派参加・国会院内の集い」記録誌』によると、『こんばんは』は2003年2月に完成した作品です。監督は森康行、撮影は川越道彦、ナレーションは倍賞千恵子、構成は古賀美岐、編集は古賀陽一、製作補佐は山田由紀、製作デスクは林口真紀、録音は山際卓郎及び(株)読売映像、現像は東京現像所、音楽監督は小六禮次郎 、製作は中橋真紀人、撮影協力は古賀美岐、高嶋芳男、田村周で、そして何よりも墨田区立文花中学校夜間学級の生徒・教職員の皆さんの協力があって完成しました。製作はイメージサテライト、配給は「こんばんは」上映事務局・ポレポレ東中野です。

動画投稿サイトYouTubeには『こんばんは』の予告編の動画があります。YouTubeの動画には緘黙で口を開かない秋元伸一さん(を演じる役者?)と思われる青年も登場します。

『こんばんは』(予告編)⇒http://www.youtube.com/watch?v=tEVy2NGppI4

『こんばんは』はメールまたはFAXにて購入が可能です。詳しくは本記事最下部に記した『映画「こんばんは」DVD購入方法を記載したウッキー・プロダクションのURL』を参照してください。個人視聴版は税込みで3,000円、ライブラリ版は10,000円となっています。映像時間は92分です。

ウッキー・プロダクションとは自主制作・配給ドキュメンタリー映画の宣伝・配給を手がけるプロダクションのことで、東京都千代田に本拠を構えています。

○秋元伸一さんの緘黙歴

秋元伸一さんは「小学校の五年生から不登校になり、家に引きこもっていたために、母親以外とは誰とも口がきけない緘黙症にな」りました。その後、「文花中学校の夜間学級に入学しました」が、「はじめはどんなに語りかけても声を出して反応することが出来ませんでした」。「みんなと給食を食べることも出来」ず、「2時間目の授業が終わると早退してしまう、ということが続きました」。

ところが、「だんだんと心を開いていき、1年後には何とか声を出せるようになった喜びを作文に綴るまでになってい」きました。その後、秋元伸一さんは全日制の都立高校、大学への進学を果たし、就職活動にも成功、IT関連の会社のオペレーターとして働き始めました。

日本の緘黙団体であるかんもくの会は緘黙症が不登校・ひきこもりのリスクになり得ると公言していますが、秋元伸一さんは不登校・ひきこもりから緘黙症になった事例として特筆すべきものがあります。

*注意:厳密に言うと、かんもくの会のHPでは緘黙症がひきこもりの原因の1つになる可能性を認めていますが、不登校に関しては言及がありません。しかし、かんもくの会が紹介された産経新聞の記事(2013年10月23日(水))やMSN産経ニュースのMSN産経westの記事『話さなくなる「緘黙症」は不安障害の一種か…不登校、引きこもりにつながる怖さ』においては緘黙症と不登校の関連が仄めかされています。

日本共産党の小松実千葉県議会議員のブログ『小松実のひとりごと』等によれば、2010年10月16日に東京都夜間中学校研究会主催で行われた東京都夜間中学校(中学校夜間学級)入学説明会において、第1部で映画『こんばんは』が上映されました。第2部では「<夜間中学での学びから僕が得たもの>~不登校を経て体験した夜間中学での学び、そして今~」と題するシンポジウムが行われ、大学4年生の秋元伸一さんもパネラーを務め、コーディネーターの須田登美雄さん(三宿中夜間学級教諭)の質問に「ときにユーモアで会場を笑わせながら、静かにゆっくりと、しかし堂々と応えていました」。

森康行監督も登場したらしい、2012年8月19日(日)に行われた花咲け出愛スピーチ大会においては、秋元伸一さんがスピーチをなさり、本当に緘黙症から回復したということを皆に示しました。

花咲け出愛スピーチ大会とは夜間中学の卒業生やえんぴつの会で勉強している方のスピーチ大会のことです。『スピーチ大会の名前「花咲け出愛」とは、荒川区立第九中学校夜間学級の創設当時から勤務され、荒川九中のみならず、東京の夜間中学の創成期にご活躍なさった塚原雄太先生の詩の一節からとったもの』です。

えんぴつの会とは見城慶和氏が運営されている勉強会のことですが、本記事の後半で言及しますからひとまず置いておきましょう。

○『こんばんは』はこんなにすごい!

『こんばんは』は文化庁芸術文化振興基金助成事業作品(記録映画長編部門)で東京都知事推奨、文部科学省選定作品です。作成年代からして石原慎太郎都知事推奨ということでしょうね(実際に見ているかどうかは知りませんが)。

たしかに、文部科学省のホームページの教育映画等選定一覧(平成15年8月)の社会教育用(教養・情操)に『こんばんは』が短いながらも紹介されています⇒http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/movie/020301/h1505.htm

文部科学省選定作品とは文科省(文部省)の教育映像等審査制度の審査をパスした作品のことです。文科省の教育映像等審査制度とは「映画その他の映像作品及び紙芝居(以下「映像作品等」という。)について、教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められるものを選定し、あわせて教育に利用される映像作品等の質的向上に寄与するために、教育映像等審査規程に基づいて映像作品等の審査」を文部科学大臣が行う制度のことです。

教育映像等審査制度及び映像作品等選定一覧(文科省HP)⇒http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/movie/main9_a1.htm

『こんばんは』の受賞歴は第9回平和・協同ジャーナリスト基金基金奨励賞、キネマ旬報2003年度ベストテン文化映画第1位、日本映画ペンクラブ賞日本映画ノン・シアトリカル部門第1位、 第58回毎日映画コンクール記録文化映画賞、高知オフシアターベスト10日本映画部門第1位、第一回文化庁映画賞文化記録映画大賞、第13回日本映画撮影監督協会J.S.C賞です。

なんと、これほどまでに『こんばんは』は評価されているのですね。購入意欲が湧いてきそうです。しかも、場面緘黙症を克服した大橋伸和さん(札幌学院大学)を題材とした『~想い かける~』がNHK大学放送コンテストの映像番組部門で優勝したのが2012年ですから、それより9年も前に高評価を受けた作品があったとは驚きです。

*注意:『こんばんは』は緘黙青年だけを取り上げているわけではありません。

参考記事⇒緘黙をテーマにした作品がNHK大学放送コンテストで優勝

その他、『こんばんは』は俳優の大竹しのぶさんや脚本家の小山内美江子さん、映画監督の黒木和雄さん、音楽評論家の湯川れい子さんに評価されています。

○超党派で文部科学委員会理事が参加した集会でも秋元伸一さんが話題に

2012年8月3日に衆議院第二議員会館1階・多目的会議室にて開催された「義務教育等学習機会充実に向けた超党派参加・国会院内の集い」にて、元東京都墨田区立文花中学校夜間学級教諭の見城慶和氏(えんぴつの会)が『こんばんは』に登場する秋元伸一さんを話題にされました。

当集いにおいて見城慶和氏は『全ての子どもたちに義務教育の実質的保障を!~「えんぴつの」会で学ぶ「形式卒業」の若者たちが訴えかけているもの~』と題する講演を行い、いじめやシカトで不登校となった幸子さん等とともに緘黙症であった秋元伸一さんが不登校、ひきこもり、緘黙症から回復する過程をお話しされました。

形式卒業とは「不登校などでほとんど小・中学校の勉強はしていないのに卒業」する卒業形態のことです。見城慶和氏によれば、形式卒業はひきこもりやニートなどのリスクであるとのことです。そのため、えんぴつの会は形式卒業者の受け皿の役割を果たしています。

「義務教育等学習機会充実に向けた超党派参加・国会院内の集い」は全国夜間中学校研究会が主催し、鈴木寛参議院議員(民主党・文教科学委員会理事)、馳浩衆議院議員(自由民主党・文部科学委員会理事)、池坊保子衆議院議員(公明党・文部科学委員会理事)、宮本岳志衆議院議員(日本共産党・文部科学委員会委員)、服部良一衆議院議員(社会民主党・外務委員会委員)が呼びかけ人となり、開催されました。

見城慶和氏はえんぴつの会(東京都墨田区)という、ボランティアで義務教育内容の学習を手助けする市民勉強会を運営しておられるだけでなく、山田洋次監督の映画『学校』(第1作)のモデルでもあり、吉川英治文化賞受賞の経歴もあります。

見城慶和氏は映画『こんばんは』の「夜間中学校の記録映画の製作を支える会」の代表世話人です。著書に見城慶和・小林チヒロ『夜間中学校の青春』(大月書店)があります。

夜間中学校の青春夜間中学校の青春
(2002/06)
見城 慶和、小林 チヒロ 他

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○見城慶和氏が語り手となったNHK教育番組にも緘黙症が登場

NHK教育テレビ『知るを楽しむ』の「人生の歩き方」において「夜間中学校は僕らのふるさと」が見城慶和氏を語り手として2006年に放送されました。特に第3回の「不登校の君へ」では秋元伸一さん?だけでなく、緘黙少女も登場するとの情報もあります(未確認なので信用できるかどうかは分かりません)。

関連記事⇒NHK教育テレビに登場した緘黙の中学生

なお、『知るを楽しむ』で緘黙男、緘黙女が登場すると思われる2006年10-11月分の放送回テキストはAmazon.co.jpやNHK出版の公式HPから購入可能です。



○その他

その他にも慶應義塾大学教職課程センターの教員養成GP連続講座「社会・他者との対話」第1回講演記録によれば、2006年10月17日、慶應義塾大学三田キャンパス北館ホールにて森康之映画監督が講師を務めた、映画『こんばんは』上映会監督講演が行われ、しんちゃん(秋元伸一さん)の卒業時の別れの言葉等が紹介されました。

○参考URL&引用URL(2014年2月9日現在)

義務教育等学習機会充実に向けた「超党派参加・国会院内の集い」記録誌 全国夜間中学校研究会
http://zenyachu.sakura.ne.jp/public_html/reference/2012-08-03innai_syukai.pdf

教員養成GP連続講座「社会・他者との対話」第1回 慶應義塾大学教職課程センター
http://www.ttc.keio.ac.jp/gp_social061017.html

クローズアップ 元東京都墨田区立文花中学校夜間学級教諭 見城慶和 「学ぶ楽しさ すばらしさ」~生きる力を支え励ます学び~(その1)ひろげよう人権 東京人権啓発企業連絡会
http://www.jinken-net.com/close-up/0511.html

「こんばんは」 ウッキー・プロダクション
http://ukky.jimdo.com/%E6%98%A0%E7%94%BB-%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%B0%E3%82%93%E3%81%AF/

こんばんは 私たちの学校は「こんばんは」から始まります
http://www.mmjp.or.jp/pole2/konbanha.htm

話さなくなる「緘黙症」は不安障害の一種か…不登校、引きこもりにつながる怖さ MSN産経west MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/131208/wlf13120818010024-n1.htm

夜間中学校入学説明会のお知らせ(10月16日開催)夜間中学対策委員会 詳細 専門部のとりくみ 東京都教職員組合
http://www.tokyouso.jp/professional/nightschool/post-329.html

夜間中学校のシンポジウム 小松実のひとりごと
http://komatsu3.at.webry.info/201010/article_7.html

○映画「こんばんは」DVD購入方法を記載したウッキー・プロダクションのURL(2014年2月9日現在) 
http://ukky.jimdo.com/dvd販売/

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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