赤面恐怖症の人は赤面コストを潜在的・顕在的に強く感じる | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)を読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。しかし、今回は社会不安(障害)そのものでなく、赤面恐怖症というものを扱います。

*ただし、今回は実験手続きと結果も読みました。

なぜ、社会不安なのかというと、場面緘黙症児は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は赤面恐怖が強い社会不安障害患者は赤面とネガティブな結果を潜在的にも顕在的にも強く結びつけているという研究です。

なお、社会不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒社会経済的地位(SES)が高いほど、育児に感じる人生の意味が薄い

↑お金が映っている写真を見ても育児をして何の意味があるのかと疑問に思うらしいですよ(笑) お金がある親は子育てから感じる人生の意味が低いようです。

Glashouwer, K. A., de Jong, P. J., Dijk, C., & Buwalda, F. M. (2011). Individuals with fear of blushing explicitly and automatically associate blushing with social costs. Journal of Psychopathology & Behavioral Assessment, 33(4), 540-546. DOI:10.1007/s10862-011-9241-x.

オランダのフローニンゲン大学臨床心理学部とアムステルダム大学臨床心理学部の研究者たちの論文です。

○研究目的

赤面恐怖が高い人はそうでない人よりも赤面が及ぼす社会的影響をネガティブに感じているかどうかを調べることが目的でした。具体的には、顕在的にも潜在的にも赤面恐怖症の人が赤面の持つ負の影響を過剰評価しているかどうかを調査しました。

○実験手続き

社会不安障害(社交不安障害)患者(以下、SAD患者)で赤面恐怖が強い人49人と不安障害でない健常者27人のデータが有効になりました。

*赤面恐怖レベルは赤面振戦発汗質問票(Blushing Trembling Sweating Questionnaire:BTSQ)で評定。

潜在的・自動的な赤面による社会的コストの感覚は潜在連合テスト(Implicit Association Test:IAT)で評価しました。

*潜在連合テストとは対となる2つの概念がどのような概念と結びついているか計測する手続きのことで、人々が意識できない自動的連合を定量化することができます。たとえば、黒人という概念に頭が悪いという概念が強く結びついているのならば、黒人-馬鹿という連合を回答するよりも、黒人-賢いという連合を回答する方が反応が遅くなるはずです(あくまでたとえで、決して人種差別を意図したものではありません!)。白人-頭が良いの場合も同様です。

*ちなみに、潜在連合テスト(IAT)の解釈は難しいです。たとえば、IATで黒人と銃などの暴力が強く結びついていることが分かったとします。そのような結果がでたのはその人が黒人を暴力的だと考えているためなのか、それとも単にメディアの報道等で黒人と暴力的イメージの連合を多く見聞きしていて学習した結果なのか、よく分かりませんよね。

意識できる顕在的な赤面コストは条件的認知尺度(Conditional Cognition scale:CCS)で評価しました。CCSとは「私が赤面すると、他者は私に能力があると思う、社会的スキルが未熟だと思う」等にどれくらい同意するかを回答するものです。

○実験結果

赤面恐怖が強いSAD患者群は、赤面とネガティブ結果の潜在的連合を定量化したIATでも顕在的な赤面コストを計測した条件的認知尺度(CCS)でも、赤面をネガティブな社会的結果と強く結びつけていることが見出されました(健常者群との比較)。

なお、IATとCCSの相関はr= 0.17で、有意ではありませんでした(潜在的尺度と顕在的尺度の相関は有意でない)。これは赤面恐怖が強いSAD患者群と健常者群で別々に算出しても有意でないままでした。

○コメント

赤面恐怖が強くても社会不安障害でない人が含まれていないので、赤面恐怖と社会不安障害の影響を分離できていないと感じました。

関連記事⇒赤面恐怖症患者は赤面コストを高く感じている

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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