NHK教育テレビに登場した緘黙の中学生 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

NHK教育テレビ『知るを楽しむ』の「人生の歩き方」において「夜間中学校は僕らのふるさと」が見城慶和氏を語り手として2006年に放送されました。特に第3回の「不登校の君へ」では場面緘黙症であったと思われる秋元伸一さんが登場しました。秋元伸一さんは文部科学省選定作品で第一回文化庁映画賞文化記録映画大賞他6賞を受賞した映画『こんばんは』に登場する方です(役者の可能性あり)。

参考記事⇒緘黙青年が登場し、数々の受賞歴を誇る映画『こんばんは』

NHK教育テレビで場面緘黙症?の中学生、秋元伸一さんが出た回の放送テキストをAmazon.co.jpを通じて入手しましたので、内容について語りたいと思います。少し前置きが長くなりますがご容赦下さい。

Amazon.co.jp⇒人生の歩き方 2006年10ー11月 (NHK知るを楽しむ/水)

本書『人生の歩き方2006年10ー11月(NHK知るを楽しむ/水)』は2006年10月から11月の水曜日にNHK教育テレビで放送された「人生の歩き方」をテキスト化したものです。前半は「死こそわが友」と題するなかにし礼氏の人生とそこから培われた人生哲学について、後半が「夜間中学校は僕らのふるさと」と題する見城慶和氏の夜間中学校を教員として過ごした体験談や教育哲学のお話になっています。

なかにし礼氏は立教大学文学部仏文科を卒業し、訳詩家、作詞家、作家、オペラ、演劇などの台本、演出の経歴があり、実に多才です。日本レコード大賞、ゴールデン・アロー賞、日本作詩大賞などの受賞歴だけでなく、『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞しています。

なかにし礼氏のお話は旧満州牡丹江市で遭遇した大空襲からの逃避行から始まって、いじめ体験、ラブレターから始まった人生の好転劇、俳優の石原裕次郎さんとの出会い、借金をつくる兄への恨み、昭和天皇崩御や心臓病を転機とした作家への転身、世界劇の宣伝etc…という内容になっています。

夜間中学校の青春見城慶和氏は東京学芸大学を卒業し、東京都荒川区立第九中学校夜間学級や東京都江戸川区立小松川第二中学校夜間学級に勤務後、東京都墨田区立文花中学校夜間学級に嘱託勤務。その後東京都墨田区の「えんぴつの会」で義務教育内容の学習を手助けする学びの場を運営しています。第33回吉川英治文化賞受賞歴があり、『夜間中学校の青春』(大月書店)等の著書を執筆しています。尊敬する人は教育学者の大田堯氏(東京大学・都留文科大学名誉教授)だそうです。

見城慶和氏はNHK教育テレビ以外にもテレビ朝日の徹子の部屋やNHKラジオ深夜便、NHK総合生活ほっとモーニングに出演されたことがあります。

○夜間中学校とは?

夜間中学校とは学齢超過者の義務教育を担保する役割を担っている夜間学級のことです。1947年に大阪で誕生した学校が発端で、「家庭の事情で昼間の中学校に通えない子供のために、現場の教師が自主的に夜間授業(二部授業)を設けたのが始まり」です。「中学校夜間学級」、「夜間中学」、「夜間中学校」とも言います。いつの時代の統計かは分かりませんが、公立夜間中学校があるのは8都府県だけで、35校しかないようです。

法的根拠は学校教育法施行令第25条第5号の「二部授業」の規定、学校教育法施行規則第一章総則第九条の「二部授業を行うことについての届出は、届出書に、その事由、期間及び実施方法を記載した書類を添えてしなければならない。」ですが、例外的な教育形態です。事実、1966年、旧行政管理庁が「夜間中学校早期廃止勧告」で、学校教育法で例外的な扱いの夜間中学校の廃止を勧告したこともあり、必ずしも順風満帆だとはいえませんでした。

夜間中学校は現在も存続していますが、昼間の中学校から夜間中学校に直接入ることはできません。それは夜間学級が学齢超過者向けの学校だからです。また、中学校の卒業証書をもらうと、夜間中学校に入ることができなくなります。したがって、場面緘黙症で不登校になった生徒が夜間中学校に入ろうとする場合、卒業証書を受け取ったらいけません。

夜間中学校は戦後に設立された学校ですが、戦時中には尋常夜学校という夜間小学校があって、就労や貧困などが理由で昼の学校に通えない子供が通学していました。

夜間中学校が題材の映画は森康行監督の『こんばんは』以外にも山田洋次監督の『学校』、盛善吉監督の『うどん学校』、髙野雅夫氏らによる『夜間中学生』があります。中でも『学校』に登場する黒井先生は見城慶和氏がモデルで西田敏行氏が演じています。

●「夜間中学校は僕らのふるさと」の感想

見城慶和氏は塚原雄太『夜間中学生』(知性社)という本をきっかけに夜間中学校に出会い、中学校夜間学級の教師になりました。見城慶和氏は「夜間中学校は僕らのふるさと」の第2回「生きる力を支える言葉」の「生きる力を支え励ます文法」において興味深い考察を展開しており、心理学的にも面白いと感じました。

*見城慶和氏は心理学者ではなく、国語の教師です。

○緘黙少女であると断定できない

さて、以前「緘黙青年が登場し、数々の受賞歴を誇る映画『こんばんは』」で述べたように、NHK教育テレビに緘黙症の生徒(または役者?)が2人出演し、本書にも登場するらしいぞという情報を掴んでいました。その1人が山田洋次監督の『学校』に登場するえり子さんという方です。えり子さんは実際に夜間中学校の生徒だった清田順子さんがモデルで、演者は中江有里氏です。

『知るを楽しむ 人生の歩き方』(2006年10月・11月号)の133ページには清田順子さんが荒川九中に初めて来た時、『彼女はうつむいて目も合わせようとせず、私が「名前は?」「何歳ですか?」と訊ねてもまったく答えませんでした』(注:私とは見城慶和氏のこと)とあります。他にも清田順子さんに関する描写がありますが、総合的にみてこれだけでは場面緘黙症だと判断することはできないと思います。ネット上にはまるで清田順子さんまでが緘黙症だと断定する表現がありますが、実のところそれほど確固とした根拠があるわけではなさそうです。

ただ、もう1人の緘黙人、つまり森康行監督の『こんばんは』に登場するシンちゃん(秋元伸一さん)は「母親以外は誰とも口をきかない」、「表情もこわばっていて、皆と一緒に給食を食べることもでき」ないというように、場面緘黙症の症状と酷似した記述が見受けられます。もっとも、2006年10月・11月号の『知るを楽しむ 人生の歩き方』には緘黙という言葉が1回も出てきませんでしたが。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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