米科学雑誌『Discover』に場面緘黙症 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

米国の科学雑誌『Discover(ディスカバリー)』に場面緘黙症(選択性緘黙症)に関する記事が掲載されていました。2011年4月号の記事です。DiscoverはDiscovery Magazine(ディスカバリーマガジン)とも呼ばれます。オンライン文書共有サービス、issuu.comで確認したところ、実際の誌面では28ページから29ページに掲載されていました(ページ数は裏表紙などを除いて全80ページ)。

単にメディアで報道されただけでは、ブログ記事にする必要もなくなった場面緘黙症ですが、掲載誌が科学雑誌と異色なので、取り上げてみます。また、Discoverの記事は発達小児科医の立場から書かれています。この点も科学雑誌という特性ゆえでしょう。それだけに他の一般紙とは若干趣が異なります。

筆者はマーク・コーエン(Mark Cohen)氏です。マーク・コーエン氏は発達小児科医でカイザーパーマネンテ(Kaiser Permanente)という米国でも大規模な非営利医療団体に勤務しています。マーク・コーエン氏は場面緘黙症患者と何度も遭遇したことがある小児科医です。

記事はテイラー(Taylor)というお名前の可愛いらしい女の子が母親と一緒にマーク・コーエン氏の診察に来て、場面緘黙症と診断される経緯から始まっています。テイラーちゃんは6歳です。

場面緘黙症の説明はかつてelective mutismと呼ばれていたことや、1994年にselective mutismという名称に変更になったこと、その理由はわざと黙っているのではなくて、しゃべることができないという理解が広まってきたことを初めとしてごくごくありふれた説明になっています。

しかし、さすが科学雑誌とあって後半から場面緘黙症の説明が少し難しくなっています。マーク・コーエン氏が言うには

場面緘黙症の原因は扁桃体という脳部位の神経伝達物質のアンバランスであると主張する研究者が存在する。具体的には扁桃体の活動はセロトニン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、GABA(γ-アミノ酪酸)という少なくとも3種類の神経伝達物質で制御されている。ゆえに、セロトニン、ノルアドレナリン、GABAの量の多寡が扁桃体活動を決定し、感じる脅威レベルも決まる。また、最近の研究では遺伝、気質、家族力動、環境要因も場面緘黙症の発現に関わっているかもしれないという。ただし、子どもによってどの要因がどの程度場面緘黙症の発症に影響したのかは異なる。

さらに、場面緘黙症に対する行動療法の原理の説明も脳科学的な内容になっています。いわく、

社会不安を下げることが目的で行われる行動療法は扁桃体が情動的な神経伝達系だけでなく、理性的思考を通して影響を与えることができる認知、判断の脳皮質中枢からも連絡を受けていることを利用している。認知療法を効果的に行うには初めにフルオキセチン(プロザック)を場面緘黙症児に服用させることが必要かもしれない。フルオキセチンにより脳内のセロトニンレベルが調整される。万能の治療法はないが行動療法と薬物療法の組み合わせが場面緘黙症に効果的なことが多い。

*フルオキセチンとはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の1種のお薬のことで、商品名はプロザックです。

米国の科学雑誌といえば、Discover以外にもScientific AmericanやPopular Scienceがあります。Scientific Americanは日経サイエンスとして日本経済新聞出版社から日本語版が刊行されています。なので、もし今後場面緘黙症の記事が載ることがあれば、Scientific Americanが良いと思ってしまいます。

○参考URL(2014年3月3日現在)

issuu.com(Discover2011年4月号)
http://issuu.com/joeybravo4/docs/discover2011-04

Vital Signs: Brain Got Your Tongue? Discover Magazine
http://discovermagazine.com/2011/apr/10-vital-signs-brain-got-your-tongue#.Uwrszfl_ucI

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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