社会不安障害患者は他者と運動を協調させるのが苦手 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)と本文を少しだけ読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ、社会不安なのかというと、場面緘黙症児は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は社会不安障害患者は他者と運動を同期させる時の役割がリーダーだと運動協調が上手くいかないという研究です。

なお、社会不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒妊娠中に高いストレスを感じると、少女の遊びが「男性化」する

Varlet, M., Marin, L., Capdevielle, D., Del-Monte, J., Schmidt, R., Salesse, R., Boulenger, J. P., Bardy, B. G., & Raffard, S. (2014). Difficulty leading interpersonal coordination: Towards an embodied signature of social anxiety disorder. Frontiers in Behavioral Neuroscience, 8:29. doi:10.3389/fnbeh.2014.00029.

フランスのモンペリエ大学Movement to Health Laboratory(EuroMov)&コロンビエール病院成人精神医学部&スポーツ科学心理医学部、オーストラリアのウェスタンシドニー大学MARCS Institute、仏国立保健医学研究所(INSERM)、ザ・ホリー・クロス大学心理学部、フランス大学研究院(Institut Universitaire de France)の方の論文です。

○方法

社会不安障害(SAD)患者19人と年齢、性別、教育水準、病前IQ(National Adult Reading Test:NARTで推定)をマッチさせた健常者が参加。

2人1組のペアをSAD患者と健常者、健常者と健常者でランダムに作成(2人の年齢、性別、教育水準、病前IQはマッチング)。

●対人振り子協調課題(interpersonal pendulum coordination task)

ペアは1メートル離れ、同じ方向を向いた椅子に座りました。そして、手に持っている振り子を前後に揺り動かすよう教示しました。

振り子運動の協調を教示しない条件(unintentional social motor coordination)と振り子運動の協調を教示する条件(intentional social motor coordination)を設定しました。前者では被験者の好みで振り子を動かすのですが、相手を見る場合と見ない場合の2つを設定しました。また、振り子も0.80Hzの振動数で揺らすものと、0.95Hzの振動数で揺らすものを用意しました。

○結果

振り子運動の協調を教示しない条件では相手を見た方が見ないよりも同調しました。振り子の振動ヘルツも被験者間で一致していた方が同期が多くなりました。ただし、SAD群と健常者群で有意差は検出されませんでした。また、社会不安障害の重篤度と運動同期の相関もありませんでした。

*社会不安障害の重篤度はリーボウィッツ社会不安尺度(Liebowitz Social Anxiety Scale:LSAS)で評価。

振り子運動の同期を教示する条件では振り子の振動が速い条件にいる人が協調運動をリードし、振り子の振動が遅い条件にいる人がフォロワーになりました。ただし、社会不安障害及び障害の重篤度の影響はありませんでした。

しかし、SAD群がリーダーの時に振り子の協調の変動が激しくなりました。社会不安障害が重篤であるほど、協調運動の変動が激しくなりました(SAD群がリーダーの時と2人の振り子の振動数が同じ時)。補足:協調運動の変動が激しいほど、相手と同期ができないことを意味します。

*今回の論文は非常に特殊な専門用語がばしばし出現していたので、間違っているところがあるかもしれません。しかし、運動を協調しなくても良い条件では社会不安障害の有無は問題とならず、協調しなければいけない時だけ、問題となる(しかもSAD患者がリーダーの時だけ)という結果は非常に興味深いです。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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