場面緘黙児に友達はいるか? | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

2014年3月29日、ネバダ大学ラスベガス校で開催された大学院生・専門職学位課程生(Professional Student)研究フォーラムの社会科学ポスターセッションで場面緘黙症(選択的緘黙症)に関する研究が1つ報告されました。発表者は大学院生のラケーレ・ディリベルト(Rachele Diliberto)さんです。個人的に興味をそそられる内容でしたので、アブストラクト(要旨)しか把握していませんが、書き記しておきます。

題目はずばり『場面緘黙児に友達はいるか?場面緘黙症の子供における友人関係の質に関する調査(Do Children with Selective Mutism have Friends? An Examination of the Quality of Peer Relationships among Children with Selective Mutism)』です。発表者、ラケーレ・ディリベルトさんのボスはクリストファー・カーニー(Christopher Kearney)教授です。クリストファー・カーニー教授はネバダ大学ラスベガス校のDistinguished Professorです。

Distinguished Professorとは特別教授とも訳されることのある肩書のことで、特に優れた業績のある人に対して与えられる称号です。クリストファー・カーニー教授は他にも様々な賞をもらっています。

Helping Children With Selective Mutism and Their Parents: A Guide for School-Based Professionalsちなみに、クリストファー・カーニー教授は『Helping Children with Selective Mutism and Their Parents: A Guide for School-Based Professionals(場面緘黙児とその親への支援:学校に基盤をおく専門家のためのガイドブック)』(オックスフォード大学出版局)の著者です。

なお、以下に記すラケーレ・ディリベルトさんの緘黙研究はアメリカの場面緘黙症団体であるSelective Mutism Group(SMG)の年次会合(annual conference)、いわゆるSMG Conferenceの2013年度版(カリフォルニア州バークレーにて開催)においてもポスター発表という形式で内容が発表されていました。このことはSMGのいわゆるSMG Newsletterというニュースレターにも掲載されていましたが、研究の要旨までは書かれていませんでした。

○「場面緘黙児に友達はいるか?」研究の要旨

さて、ここからが本題ですが、場面緘黙児の友人関係を調査した本研究はいったいどんな内容なのか。ポスター発表の要約原稿で分かる範囲で記述しておきます。

研究参加者(被験者):場面緘黙児54人(3~11歳)

*この緘黙児らはネバダ大学ラスベガス校登校拒否(不登校)不安障害クリニック(School Refusal and Anxiety Disorders Clinic)で治療を受けていた

結果:場面緘黙児の友人の数・関係の質には個人差があった

○コメント

要約はそっけなく、具体的にどれぐらいの個人差なのか分からないのですが、文脈から察するに緘黙児には友達が多い子もいれば少ない子もいて、その質も人によって異なるといったところでしょうか。

また、緘黙児の友人関係が治療のアプローチ方法や介入結果にも影響するかもしれないと書かれています。良い関係の友達がいれば緘黙児の治療もはかどるということでしょう。日本でも友達に協力してもらって場面緘黙症から回復できたという話を聞きます。

ただし、良い関係の友達がいる=場面緘黙症の治療が捗ると単純に考えない方が良いでしょう。場合によっては、友達が緘黙児のコミュニケーションを代替し過ぎたり、友人が過保護になる可能性もありますからね。

場面緘黙児には頷きや首振り等のジェスチャーができる子もいます。これが友人関係に影響しているのかもしれません。また、大学の登校拒否(不登校)不安障害クリニックで治療を受けている最中の緘黙児という点もひっかかります。さらに、ポスター発表の要旨を読む限り、健常発達児や社会不安障害(社交不安障害)児を統制群として比較対象にした痕跡がないのも気にかかります。

友達をどう定義するかによって結果が異なるでしょうから、方法の詳細が知りたいところです。本研究では子供、親、先生から友人関係に関するデータを取得したようですが、相互に矛盾はなかったのかどうかも気になるところです。

○参考URL(2014年4月29日現在)

Diliberto, R. (2014). Do Children with Selective Mutism have Friends? An Examination of the Quality of Peer Relationships among Children with Selective Mutism. Graduate & Professional Student Research Forum Social Science Poster Session A.
http://www.unlv.edu/sites/default/files/24/GPSA-ResearchForumAbstractBooklet-2014.pdf

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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