愛着不安が高い人は嘘を見破ることとポーカーが得意 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクトと実験手続きおよびその結果を読んだ、不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが、最新の研究成果です。ただし、今回は愛着(アタッチメント)不安型に関する研究です。

なぜ、愛着不安なのかというと、場面緘黙症の研究で愛着を調べた論文があるからです。


今回は愛着不安が高い人は嘘を見抜くのが得意で、ポーカーでの獲得金額が多いというお話です。

なお、愛着不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒赤ちゃんは共感覚者?

↑赤ちゃんは共感覚であると主張する心理学者がいますが、その実験的証拠が2011年に得られました。

Ein‐Dor, T., & Perry, A. (2013). Full house of fears: Evidence that people high in attachment anxiety are more accurate in detecting deceit. Journal of Personality, 82(2), 83-92. DOI:10.1111/jopy.12035.

イスラエルのヘルズリヤ学際研究センター(Interdisciplinary Center Herzliya)の心理学科の方の論文です。

○背景

訓練を受けていない素人は嘘と真実を見分けるのが54%の確率でしかできないと言われています(本論文の序論より)。

一方、愛着不安が高い人がいると、集団がパソコンから立ち上る煙に気付くのが早くなる、愛着回避が高い人がいると、煙をモウモウと噴出させているパソコンからグループが逃げるのが早くなる(Ein-Dor et al., 2011)という研究が示唆するように愛着不安が危険な事態の認識を早め、集団パフォーマンスを向上させている可能性が指摘されています。

○実験の目的

愛着不安が高い人は他人の嘘を見破るのが得意かどうか、また得意ならばポーカーゲームが上手かどうかを調べること。

○実験1の手続き

実験協力者202人(女性143人)。被験者の平均年齢は24.5歳(範囲:17~70歳)。

愛着不安・愛着回避等の愛着志向性は親密関係体験質問尺度(Experiences in Close Relationships scales:ECR)、特性不安・状態不安はSpielbergerの状態不安・特性不安質問票(State-Trait Anxiety Inventory:STAI)で評定。

質問紙回答後、7つのビデオを視聴。ビデオには2人の女優が交流している場面が映っていました。内、4つのビデオでは主人公が嘘を言い、3つのビデオでは真実しか述べていませんでした。被験者には主人公が嘘を言ったかどうか見破ってもらいました。

嘘のビデオの例:Aさん「庭の壁に落書きがあるんだけど、誰がやったか知らない?」Bさん「知らないわ」(しかし、Bさんの手のひらに落書きと同じ色、質の"痕跡"が残っている)

○実験1の結果

状態不安・特性不安は嘘の探知能力を予測しませんでした。しかし、愛着不安が高い人は嘘を発見するのが得意でした(愛着不安は本当のことを言っているかどうか探知する能力とは関連せず)。愛着不安が高い人がなんでもかんでも嘘と判断する傾向はありませんでした。

○実験2の手続き

実験協力者58人(男性30人)。被験者の平均年齢は29.5歳(範囲:19~59歳)。

親密関係体験質問尺度(ECR)、Spielbergerの状態不安・特性不安質問票(STAI)に加えて、一般コミュニケーション嫌疑尺度(Generalized Communication Suspicion scale:GCS)で他人を信じる度合を評定。

ラップトップコンピュータで10個のビデオを鑑賞。ビデオでは一般人が1分間、お話をしていました。その内、6つが嘘の出来事を言い、4つが本当のことを言っているビデオでした。被験者にはできるだけ早く嘘かどうかを見分けてほしいと教示しました。

注意事項:実験1との違いは嘘を言っているかどうかの手がかりが曖昧なことでした(対して、実験1では手のひらの絵の具等の証拠がありました)。

○実験2の結果

他人を信頼しない人ほど嘘を見つけるのが得意でした(真実を探知する能力や反応時間とは関連せず)。愛着不安でも同じ結果でした。

愛着不安が高い人や他者を信頼しない人がなんでもかんでも嘘と判断する傾向はありませんでした。

○実験3の手続き

実験協力者はセミプロのポーカープレーヤー35名(男性33人)。被験者の平均年齢は22.9歳(範囲:20~29歳)。ポーカー歴が2年以上で、ポーカートーナメント出場歴ありの人が実験に参加しました。

質問紙は親密関係体験質問尺度(ECR)と社会的回避苦痛尺度(Social Avoidance and Distress scale:SADS)。SADSは社会不安の指標として使用。

質問紙回答後、1グループ7人でポーカーを実施。獲得金額と損失金額を記録。

○実験3の結果

愛着不安が高い人ほどポーカーの獲得金額が多くなりました(損失金額とは関連せず)。一方、社会不安の影響はありませんでした。

関連記事⇒愛着不安が高い人は他者に援助を求めるのが早い

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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