ストレスで離人症・現実感喪失症になりやすい社会不安障害患者  | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)、実験方法、実験結果だけ読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ社会不安なのかというと、場面緘黙症児は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)を合併していることが多いという知見があるからです。

今回は社会的ストレスを受けた社会不安障害患者は離人症状が出やすいという研究です。ここでの離人症とは異なる情動を区別することができなくなったり、自分を観察する傾向が高くなったり、身体所有感(feeling of body ownership)がなくなったり、自己像幻視(autoscopia)が生じることです。

*自己像幻視とは外の世界に自分の身体を見る症状のことです。

なお、社会不安以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒母親が過保護だと子供が肥満や体重過多になる

Hoyer, J., Braeuer, D., Crawcour, S., Klumbies, E., & Kirschbaum, C. (2013). Depersonalization/derealization during acute social stress in social phobia. Journal of Anxiety Disorders, 27(2), 178-187. DOI:10.1016/j.janxdis.2013.01.002.

ドイツのドレスデン工科大学臨床心理心理療法研究所&生物学的心理学研究所の研究者の方々の論文です。

○実験目的

社会不安障害患者がストレスが強い場面で感じる離人症・現実感喪失症の頻度と強度を調査すること。また、離人症・現実感喪失症を予測する心理的因子や離人症・現実感喪失症が引き起こす帰結も調査。

○実験方法

社会不安障害患者54人(女性24人、 平均年齢26.5歳)と精神障害のない健常統制者34人(女性16人、平均年齢25.3歳)が参加。

実験課題は試験官社会的ストレス検査(Trier Social Stress Test:TSST)。試験官社会的ストレス検査とは採用面接におけるスピーチと面接官の前での計算課題を実施する試験のことです。

・離人症・現実感喪失症の質問紙:ケンブリッジ離人症尺度(Cambridge Depersonalization Scale:CDS)
・post-event-processing(PEP,認知的事後処理)の質問紙:認知的事後処理質問票(Post-event Processing Questionnaire:PEPQ)
・安全行動の質問紙:社会行動質問票(Social Behaviour Questionnaire:SBQ)

post-event-processingとは社会的場面の後にネガティブな側面を何度も何度も繰り返し考える認知的傾向のことで、社会不安との関わりが指摘されています。安全行動とはたとえばパニック障害ならペットボトルに水を入れて持ち歩くといったように、脅威をコントロールしたり、避けようとする行動のことです。しかし、精神医学では安全行動は逆効果だとされています。

○実験結果

社会不安障害患者の92.9%が試験官社会的ストレス検査で離人症・現実感喪失症を呈したのに対し、健常者では52.9%でした(軽度の離人症・現実感喪失症を含む)。社会不安障害患者の76.4%が重篤な離人症・現実感喪失症を示しました。重篤な離人症・現実感喪失症を示した健常者は32.4%でした。

社会不安障害群では社会不安症状を統制しても、post-event-processingや安全行動が高くなると、離人症・現実感喪失症が強くなりました。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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