ジャーナリスト、池上正樹氏は場面緘黙の経験者 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

ドキュメントひきこもり ~「長期化」と「高年齢化」の実態 (宝島SUGOI文庫)ひきこもりや場面緘黙症(選択性緘黙症)の報道でお馴染み?のジャーナリスト、池上正樹氏が場面緘黙の症状を経験されていました。もっとも、ひきこもりや場面緘黙症の取材・報道だけが彼の仕事ではありません。実際には気象予報士でフォトジャーナリストの加藤順子氏との共著『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する (一般書)』をポプラ社から出版されるなど、他の問題にも取り組んでおられます。

とにかく、そんな池上正樹氏が小学校の6年間場面緘黙の症状を体験したというのです。この情報はKHJ岡山県「きびの会」が発行している会報『きびの会報(OSK KHJ岡山きびの会)』の第129号平成26年(2014年)6月号に掲載されていました。会報には池上氏の講演内容の一部が書かれていたのですが、そこに彼の緘黙経験談が少し掲載されていました。なお、KHJ岡山県「きびの会」とはNPO法人の全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)の中国・四国支部の1つのことです。

ところで、池上正樹氏はダイヤモンド社のビジネス情報サイトであるダイヤモンド・オンライン(DOL)において『「引きこもり」するオトナたち』を連載しています。池上氏の『「引きこもり」するオトナたち』シリーズは2009年12月17日に第1回目の記事『高年齢化する「引きこもり」に追い討ちをかける事業仕分けの罪』が投稿されてからもうすぐ5周年になります。

実は『「引きこもり」するオトナたち』の2012年5月の記事「家では話せるのに学校・会社では話せない “大人の緘黙(かんもく)症”の知られざる苦悩」でも池上氏が場面緘黙の経験者であることを暗示するような記述がありました。しかし、それだけでは、池上氏が場面緘黙の経験者であると判断するには無理があり、私は今の今まですっかり忘れていました。

↓最後の5ページ目に池上正樹氏が場面緘黙であったことを仄めかす記述があります。

家では話せるのに学校・会社では話せない “大人の緘黙(かんもく)症”の知られざる苦悩(【第108回】2012年5月18日)

↓ダイヤモンド・オンライン『「引きこもり」するオトナたち』で場面緘黙症が主題となった記事の一覧

大人しい優等生タイプを社会に出てから苦しめる “大人の緘黙(かんもく)症”のリアル(【第113回】 2012年6月28日)

年を重ねても他人と何も話せない “大人の緘黙(かんもく)症”の子を持つ親の悲痛(【第116回】 2012年7月26日)

「大人になれば自然に治る」はウソだった!? 会話ができない緘黙(かんもく)症の人々の葛藤(【第117回】 2012年8月2日)

大人になっても友人なし、家族とも全く話せない わが子の緘黙(かんもく)症に悩む親の苦しみ(【第165回】 2013年9月5日)

緘黙は不登校とも深い相互関係があった 最新研究でわかった新たな原因と支援策(【第202回】 2014年6月12日)

*同じ『「引きこもり」するオトナたち』シリーズにある「先生は引きこもり!?ニート学部に発達障害学部!? ついに動き始めた「ひきこもり大学」(【第161回】 2013年7月25日)」という記事には「ひきこもり大学」の学部・学科として緘黙症学部があっても面白いというお話があります。ひきこもり塾から始めるという話も書かれていますが、ひきこもり大学ホームページができたところを見ると、ひきこもり塾構想はなくなったようです。

「家では話せるのに学校・会社では話せない “大人の緘黙(かんもく)症”の知られざる苦悩」では池上氏が場面緘黙の元当事者であることを暗示させる記述がされていましたが、それだけでは彼が緘黙経験者であると判断できませんでした。しかし、今回のKHJ岡山きびの会の会報には「実は私自身が小学校6年間学校では全く何もしゃべることが出来ませんでした。家に帰ると親とは普通にしゃべることが出来る」というお話が掲載されています。これは池上氏が場面緘黙の経験者であることを物語っています。

*本ブログでは専門家の診断を受けた場面緘黙の症状とそうでない場面緘黙の症状の違いを強調するのに症の有無を意図的に操作していることがあります。具体的にいうと、専門家の診断を受けた場面緘黙の症状を場面緘黙症、専門家の診断なし(自己診断・他者診断)の場面緘黙の症状を場面緘黙と書いていることがあります。今回もそのつもりです。

ダイヤモンド・オンラインの『「引きこもり」するオトナたち』の第108回目の記事にある緘黙体験を暗示させる記述と比較すれば、KHJ岡山きびの会の講演での発言の方が、池上正樹氏が場面緘黙の経験者であることを裏付ける根拠として強いことが分かると思います。

「話を聞いているうちに少しずつ思い出したのは、筆者も小学生の頃、似たような経験をしたことだ。近所では同級生たちと話をしていたのに、学校では誰とも話さなかった。ずっと学校の外に出たいと思っていた。なぜそうなったのかは、よく思い出せない。」(第108回目の連載「家では話せるのに学校・会社では話せない “大人の緘黙(かんもく)症”の知られざる苦悩」より) 
*注:筆者とは池上正樹氏のこと。

また、ダイヤモンド・オンラインの記事では明かされなかったことが、KHJ岡山きびの会での講演で明かされています。それは緘黙期間が小学校の6年間だったということと、池上氏が子供のころ、緘黙のことをひとり悩み、苦しみ、死にたいと思っていた事実です。池上氏が場面緘黙の文脈で自殺願望を明かしたのはこれが初めてなのかもしれません。そもそも池上氏がひきこもりの取材活動を始めたのは何も喋らない中学生との出会いがきっかけです。因果なもので、池上氏と緘黙症状との関係は根強いようです。

池上氏が小学校6年間ずっと学校で話せなかったのならば、場面緘黙の後遺症のようなものがあるのかどうか気になります。実際に池上氏は「今に至るまで生きづらさ感じる」とご自身の内心を告白されています(話すことが苦手という意識もあるようです)。何歳までに場面緘黙(症)を克服すれば、後遺症(コミュニケーション能力の不足など)が最小限に抑えられるのか。この問題は場面緘黙症の治療の目安にもなります。また、学校で緘黙しているということが、子供の社会性や知的認知能力(IQだけでなく、言語能力や社会的認知能力等も含む)に与える影響を調べることは、基礎心理学(特に、発達心理学)の観点からも重要な問題となります。

参考記事⇒緘黙の後遺症を逆手にとって研究を促進できる

*なお、社会不安(社交不安)と社会的認知能力の関係については「社会不安が高いと顔のアイデンティティを再認するのが苦手」などを参考のこと。

もちろん医師の診断などはなかったのでしょうが(正式な診断があったらゴメンナサイ)、池上氏が元緘黙児だったとすれば、熱心な場面緘黙症の取材活動も頷けます。池上氏の取材・報道活動に感謝し、これからも応援していきたいと思います。

○引用URLと参考URL(2014年8月18日現在)
きびの会報(OSK KHJ岡山きびの会)第129号平成26年6月号
http://kibinokai.ciao.jp/images1/129gou.pdf

ひきこもり大学ホームページ
http://hikikomoridaigaku.jp/

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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