デートDVをするのは否定的評価恐怖が強い男性 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)を読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ、社会不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児(選択性緘黙症児)は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)を合併していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害(不安症)となりました。

今回は社会不安の1つの要素である否定的評価恐怖が高い男性は恋人にデートDVをする傾向にあるという研究です。

なお、社会不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒時計の音は女性の結婚願望・出産願望を強める

Hanby, M. S., Fales, J., Nangle, D. W., Serwik, A. K., & Hedrich, U. J. (2012). Social anxiety as a predictor of dating aggression. Journal of Interpersonal Violence, 27(10), 1867-1888. doi:10.1177/0886260511431438.

アメリカのテキサス州アンジェロ州立大学とメイン州メイン大学の研究者たちの論文です。

○背景と目的

これまで社会不安の研究は闘争か逃走か(fight-or-flight)反応の内、逃走ばかり注目していました。しかし、近年社会不安と攻撃性が関係するという研究が出てきています。たとえば、不安障害でも反抗挑戦性障害との併発があるという研究(Boylan et al., 2007)や社会不安が高い人の中に攻撃性・衝動性が高く、リスク行動が多い者がいるというレビュー論文(Kashdan & McKnight, 2010)があります。

*反抗挑戦性障害とは主に権威的人物に対して、反抗的、敵意的な行動を示す特性のことをいいます。

また、2014年に公刊された論文(Galbraith et al., 2014)では社会不安障害者のうち、反社会性人格障害(反社会性パーソナリティ障害)を合併している人の割合は10.6%という数字が出ています。これは一般人口での反社会性人格障害の有病率である0.6%と比較して多い値です。

さらに、遺伝的リスクも重なっています。具体的には思春期の内在化問題行動(不安や引きこもり傾向、うつなど)と外在化問題行動(非行、攻撃行動、注意の問題など)に共通の遺伝的因子があります。

したがって、本研究では青年後期の人たちで社会不安が恋人への攻撃性(dating aggression)を予測するかどうかを調べました。恋人への攻撃性はデートDVとほとんど同じ意味だと思われますので、以下デートDVと称します。

○方法

デートDVは身体的なものと精神的なものとに分けました。身体的なデートDVは平手でたたく、武器を使用する、性的行為を強要するなどの行為で、精神的なデートDVはドアをバタンと閉める、侮辱する、会話を拒絶する等でした。

○結果

社会不安の内、否定的評価恐怖(Fear of Negative Evaluation:FNE)が男性のデートDVを予測しました。これは恋人関係の質を統制しても有意でした。男性が恋人との関係を敵対的なものだと感じていると、否定的評価恐怖が身体的デートDVと精神的デートDVの両方を予測しました。

恋人との関係の質は否定的評価恐怖と身体的・精神的デートDVの間を媒介しませんでした。

○コメント

これはアメリカの研究ですが、日本だとどうでしょうかね。恋人からの否定的評価を恐れていたら、攻撃的になるというのは頭では理解できますが、う~ん。

本研究はネガティブ評価の恐怖の話ですが、2008年にポジティブ評価の恐怖(褒められることの恐怖)が社会不安と関連するという研究(Weeks et al., 2008a)がでました。したがって、否定的評価恐怖だけでなく、肯定的評価恐怖もデートDVと関連しているのかもしれません。でも、褒められて恋人に暴力を振るったり、暴言を吐くなんて、ちょっと想像できません。ツンデレキャラの極端な形でしょうか?しかし、肯定的評価恐怖はあまり知らない人からの評価を想定したものですから、恋人とは関係なさそうです。

関連記事1⇒社会不安が強いと恋愛が上手くいかないのは友達のせい?

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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