マインドフルネスのネット版で不安障害を治療 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)と研究方法、研究結果を読んだ不安(障害)の治療法に関する最新の論文を取り上げます。

なぜ不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害を合併していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害(不安症)になりました。

今回はインターネットマインドフルネスが不安障害の治療に効果的であるいうお話です。

東京マインドフルネスセンターのHP(http://www.tokyo-mindfulness-center.jp/modules/w_mindfulness/index.php?content_id=1)によると、マインドフルネスとは「意識的に現在の瞬間に、そして瞬間瞬間に展開する体験に判断を加えず注意を払うこと」で、正確にはマインドフルネスストレス低減法というそうです。日本でも2014年に日本マインドフルネス学会第1回大会が早稲田大学国際会議場(東京都新宿区)にて開催予定で、マインドフルネスに関する科学的研究が進展しています。

なお、不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒3年の間に認知機能が低下した高齢者は癌になるリスクが低い

Boettcher, J., Åström, V., Påhlsson, D., Schenström, O., Andersson, G., & Carlbring, P. (2014). Internet-based mindfulness treatment for anxiety disorders: A randomized controlled trial. Behavior Therapy, 45(2), 241-253. DOI:10.1016/j.beth.2013.11.003.

ストックホルム大学・ベルリン自由大学、ウメオ大学、マインドフルネスセンター、カロリンスカ研究所の研究チームによる論文です。

○背景と目的

私は詳しいことを知らないのですが、マインドフルネス心理療法は複数の不安障害に対して効果が認められることが示されていました。しかし、これまでインターネットによるマインドフルネス療法の効果を検証した研究はありませんでした。したがって、本研究ではインターネットによる指導なしのマインドフルネスの効果を検証することを目的としました。

○方法

91人の不安障害の人がマインドフルネス療法群(45人)かオンラインディスカッションフォーラム群(統制群:46人)に無作為に割り当てられました。平均年齢はマインドフルネス療法群が37歳、統制群が40歳でした。両群とも女性の方が多く、67.4%~75.6%が女性でした。不安障害の内訳は社会不安障害(社交不安障害)が26人、全般性不安障害が17人、パニック障害が30人、特定不能の不安障害が18人でした(主診断)。

マインドフルネス瞑想のエクササイズはオーディオファイルをもとに実施しました(1日2回、1週間に6日を8週間)。マインドフルネス瞑想の効果は治療後と6か月の追跡後に評価しました(治療開始前のベースラインでも症状を評価)。

オンラインディスカッションフォーラム群には毎週新たに現れる不安やパニックに関する話題に関して議論してもらいました(8週間)。オンラインディスカッションフォーラムの効果は追跡期間後の評価はしませんでしたが、残りはすべてマインドフルネス群と同じ時期に評定しました。

○結果

統制群と比較して、マインドフルネス療法群は不安/うつ症状、不眠が減少しました。オンラインディスカッションフォーラムの統制群でも症状の改善が認められたのですが、効果量は小~中程度(Cohen’s d=0.45–0.76)で、マインドフルネスの効果量は大(Cohen’s d = 0.82–1.58)でした。また、統制群では確認されなかったQOL(生活の質)の向上もマインドフルネス療法群では中程度に生じました(Cohen’s d=0.64)。

*不安はベック不安尺度(Beck Anxiety Inventory:BAI)、うつはベック抑うつ尺度-Ⅱ(Beck Depression Inventory-II:BDI-II)、不眠は不眠重症度質問票(Insomnia Severity Index:ISI)、QOLは生活の質質問票(Quality of Life Inventory:QOLI)で評価。

マインドフルネス群では16人(40%)の参加者に臨床上有意な改善が認められたのに対し、統制群では4人(9%)でした(有意差もあり)。統制群と比較してマインドフルネス療法群は治療への満足度が高い結果となりました。また、不安障害の種類によってマインドフルネスの効果が違うという証拠も得られませんでした。

マインドフルネス群は治療前と比較して6か月の追跡期間後に不安・うつ・不眠が弱まり、QOLが改善しました。また、治療終了後と比べて、6か月の追跡後は不安・不眠・QOLに違いはなく、うつ症状が悪化していました。

○コメント

インターネットでの注意バイアス修正訓練+認知行動療法は副作用の危険性があると主張する研究報告(Boettcher et al., 2014)があるので、マインドフルネス瞑想でも副作用の存在が気になります。マインドフルネスの副作用といえば、離人症状でしょうかね。

ここまで不安障害の種類が多様な臨床試験でマインドフルネスの効果が示されると、場面緘黙症にマインドフルネスをやってみたくなりますね。なお、子供でもマインドフルネスの臨床試験は探せば見つかります。なかには学校でマインドフルネスを実践した臨床研究もあります。

関連記事⇒マインドフルネスの遺伝率は32%(16歳)

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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