心の理論課題に障害がある社会不安障害 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけを読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ、社会不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児(選択性緘黙症児)は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)を合併していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害(不安症)になりました。

今回は社会不安障害の人は心の理論課題が苦手という研究です。具体的に書くと、社会不安障害だと心の理論課題で他者の思考や感情に情動や意味を強く帰属するのです。

なお、社会不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒離婚は友人の友人にまで拡散する

・友人が離婚すると離婚する可能性が75%、友人の友人が離婚すれば離婚可能性が33%高まる。
・離婚未経験者と比較して離婚した人が離婚経験者と再婚する可能性は2倍。離婚から日が浅いと離婚経験者との再婚確率が4倍。
・子供の有無が離婚そのものに影響することはないが、子供が多くなればなるほど友人の離婚の影響を受けにくくなる。子供が5人いれば、友達の離婚の影響が完全に消失。

Hezel, D. M., & McNally, R. J. (2014). Theory of Mind Impairments in Social Anxiety Disorder. Behavior Therapy, 45(4), 530–540. DOI: 10.1016/j.beth.2014.02.010.

アメリカのハーバード大学の研究者2名による論文です。

○研究背景

社会不安障害の認知バイアス研究により、彼らは他者から自分がどう見られているか正確に理解していないことが分かっています。特に注意資源を自分の行為や外的脅威のモニタリングに回す社会的状況で顕著です。

○研究目的

本研究の目的は社会不安障害の人が心の理論の障害を持っているかどうかを調査することとしました。心の理論とは他者の情動や信念、意図などの心的状態を推論する能力のことです。

○研究方法

社会不安障害患者40人、健常者40人が参加。

用いた心の理論課題は2つ。まなざしから心を読むテスト(Reading the Mind in the Eyes Test:RMET)と社会認知の評価のための動画(Movie for the Assessment of Social Cognition:MASC)。

*RMETとはその名の通り他者のまなざしから心を読むテストです。RMETは発達心理学者で、自閉症の研究で有名なサイモン・バロン=コーエン(Simon Baron-Cohen)教授によって開発された心の理論検査です。MASCとは映画の1シーンから登場人物の心理状態を推測する課題のことです。

○研究結果

社会不安障害群はRMETとMASCがともに苦手でした(健常者群との比較)。健常者群と比較して、社会不安障害群は他者の思考や感情に情動や意味をより強く帰属していました。健常者群と社会不安障害群の差は解釈バイアス(interpretation bias)が原因ではありませんでした。

*解釈バイアスとは社会的不安が高い人はポジティブにもネガティブにも解釈できる曖昧な社会的状況をネガティブに考える癖を持つという心理学・精神医学の学術用語のことです。

ハーバード大学の研究チームは社会不安障害における心の理論の障害を自閉症スペクトラム障害と対比して考察しています。自閉症スペクトラム障害での心の理論の障害といえば、他者の心的状態の推測が欠如しているか、あっても限られているとされるからです。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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