うつ病よりも不安障害の方が認識することが難しい | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   不安(障害)・恐怖に関する興味深い研究  »  うつ病よりも不安障害の方が認識することが難しい

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけを読んだ不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)・恐怖なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害を合併していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害(不安症)になりました。

今回はうつ病を認識できる人は50%だが、不安障害を認識できるのは20%未満だという研究です。

なお、不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒お金のプライミングで自己開示や自己効力感が高まる
↑質問紙(兼回答用紙)の背景を札束だらけにするとプライバシー情報の開示意図が高まるだけでなく、実際の開示行動や自己効力感も増加するという研究です。

Coles, M. E., Schubert, J. R., Heimberg, R. G., & Weiss, B. D. (2014). Disseminating treatment for anxiety disorders: Step 1: Recognizing the problem as a precursor to seeking help. Journal of Anxiety Disorders, 28(8), 737-740. doi:10.1016/j.janxdis.2014.07.011.

アメリカのニューヨーク州立大学ビンガムトン校心理学部、テンプル大学心理学部、アリゾナ医科大学家庭医療学・地域医療学部の研究者達による論文です。

○背景と目的

米国では3分の2の精神障害者が治療を受けていないと推定されています。また、アメリカ人の不安障害の生涯罹患率は25%以上に上り、ほとんどの人が治療を受けないまま放置されているのが現状です。ところで、精神疾患の症状を認識することが援助希求の前提条件になります。したがって、本研究では不安障害を示している人を不安障害と認識できるかどうか調査することを目的としました。

○方法

調査協力者は米国の成人577人(白人とアフリカ系アメリカ人が半々)。方法はヴィネット調査(vignettes調査)。ヴィネット調査とは架空の具体的状況を記述した説明文による調査のことです。ヴィネット方式による調査という言い方もします。心理学や臨床心理学、精神医学の論文でvignettesという単語が時々登場します。本研究ではヴィネット調査で精神疾患の症状やその影響を具体的に記述した文書を呈示したようです(要約しか読んでいないので曖昧表現)。

○結果

vignettesを用いた全国調査(national survey)の結果、50%の回答者がうつ病を認識できたのに対し、不安障害を正しく認識できたのは20%よりも少ない割合となりました。一方、症状が心配・懸念の原因であるという認識は75%以上の参加者が示していました。また、回答者の人種による違いはありませんでした。回答結果と一貫して関連する調整変数(moderators)も数量的に少なかったです。

○補足情報(2014年12月15日追記)

本論文は後の記事「社会恐怖症はうつ病よりも援助アドバイスがもらえない」で紹介した論文とセットになっています。なので、興味を持たれた方は両方とも読んでみることをお勧めします。

関連記事⇒広島大学の学生で社交不安障害を知らない人は70.4%

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP