パニック発作と社交不安障害 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(論文要旨)だけを読んだ、社交不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ、社交不安(障害)なのかというと、場面緘黙児(選択性緘黙児)は社交不安(社会不安)が高いか、もしくは社交不安障害(社会不安障害,社交不安症)を併発していることが多いという知見があるからです。また、米国精神医学会が発行するDSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き第5版)では場面緘黙症が不安障害(不安症)になりました。

今回は社交不安障害でのパニック発作(不安発作)を調べた研究です。

なお、社交不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒妊娠可能性の高い女性のにおいで男性の飲酒量が増加し、女性に接近する傾向が強まる
↑女性が着たTシャツのにおいを嗅ぐ実験です。

Potter, C. M., Wong, J., Heimberg, R. G., Blanco, C., Liu, S. M., Wang, S., & Schneier, F. R. (2014). Situational panic attacks in social anxiety disorder. Journal of Affective Disorders, 167, 1-7. doi:10.1016/j.jad.2014.05.044.

アメリカ合衆国ペンシルベニア州テンプル大学心理学部とニューヨーク州コロンビア大学ニューヨーク州立精神医学研究所の研究者による論文です。

○背景

パニック発作はパニック障害(パニック症)だけでなく、他の精神疾患にも生じます。しかし、社交不安障害のパニック発作の臨床的な調査はまだまだ進展していません。そこで本研究の目的は社交不安障害関連のパニック発作に関わる人口統計学的、臨床的特徴を疫学的に調べることとしました。

○調査方法

社交不安障害者1,138人が調査に協力。状況的パニック発作がある社交不安障害者とない社交不安障害者の比較は人口統計学的要因や社会的状況の恐怖/回避、苦痛(distress)、機能障害(impairment)、診断的併発症で実施。

○調査結果

状況的パニック発作を経験する可能性の低い社交不安障害者には男性、黒人、アジア系(・アジア人)、65歳より高齢といった特徴がありました。

失業中(・無職)だとパニック発作を体験する可能性が高くなりました。また、状況的パニック発作がある人は社会的状況の恐怖や回避、機能的障害が強く、コーピング(対処方略)として物質使用をする傾向にあり、治療利用性が高く、現在的にも将来的(縦断的)にも他の精神疾患を併発していることが多くなりました。

○コメント

社交不安障害でパニック発作を調べた研究はこれだけではありません。他にもアメリカのテンプル大学の研究者が実施した調査(Potter et al., 2014)があります。Potter et al. (2014)は治療を求めに来た社交不安障害患者280名のデータに潜在クラス分析(Latent Class Analysis:LCA)を適用しました。その結果、パニック症状には質的に異なる4つのタイプがありました。その4つとはパニック症状が弱いタイプ、社交不安障害関連のパニック症状が強いタイプ、心臓感覚が高く感覚異常(paresthesia)があるタイプ、パニック症状が中等度のタイプです。これらの4タイプはそれぞれ社交不安障害の臨床的特徴が異なる結果となりました。

そういえば、顔刺激を用いた実験課題中のfMRI(機能的磁気共鳴画像法)でパニック障害と社交不安障害の鑑別が個人レベルででき、その精度は無表情条件で感度81%、特異度81%だったという研究(Pantazatos et al., 2014)がありました。もしかしたら、一部にパニック症状が強い社交不安障害患者がいたのかもしれません。その結果、fMRIでの鑑別精度が81%止まりだった可能性もあります。だとしたら、パニック障害と社交不安障害の鑑別研究において社交不安障害者のパニック症状も評定した方がいいのかもしれません(パニック障害からすると社交不安症状の評定をした方が良いということも十分考えられます)。

○引用文献(アブストラクトだけ読みました)
Potter, C. M., Drabick, D. A., & Heimberg, R. G. (2014). Panic symptom profiles in social anxiety disorder: A person-centered data-analytic approach. Behaviour Research & Therapy, 56, 53-59. doi:10.1016/j.brat.2014.03.004.

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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