認知行動療法・薬物療法で脳血流量が変化する | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

今回は社会不安障害に対する認知行動療法と薬物療法の有効性を生理心理学的観点から検証した研究をとりあげます。精神療法と薬物療法は共に扁桃体を含む辺縁系の活動を抑えることでその効果を発揮するという結果が得られています。なにより重要なのは治療1年後の予後を大脳皮質の奥深くにある領域(扁桃体など)の興奮度によってほぼ確実に予測できたことです

Furmark, T., Tillfors, M., Marteinsdottir, I., Fischer, H., Pissiota, A., Långström, B., & Fredrikson, M.(2002). Common changes in cerebral blood flow in patients with social phobia treated with citalopram or cognitive-behavioral therapy. Archives of General Psychiatry, 59, 425-433.

★概要

シタロプラムというSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を処方した群と集団認知行動療法を実施した群、治療待ち群に患者を分けています。治療期間・待機期間は9週間です。これらの3群について、治療の前後に人前でスピーチをしてもらっています。スピーチ中に脳の血流をPET(陽電子断層撮影)で測定しています。

その結果、SSRIと認知行動療法はともに症状の軽減に成功しました。SSRIと認知行動療法の脳への作用はほとんど同じでした。つまり、治療による寛解にスピーチ中の脳血流量の減退が伴っていました。このような変化があった部位は両半球(特に右半球)の扁桃体、海馬でした。ただ、右視床ではSSRIを処方された方が有意に血流が増加しました。

辺縁系(扁桃体・海馬)の他にも、認知行動療法群では中脳水道灰白質の血流が減少し、右小脳や第2次視覚野の血流が増加していました。一方、SSRI群では左視床と左前頭葉下部の血流が減少していました。全体的に症状が緩和した人は右前頭葉下部、右背外側前頭前野、両半球の前帯状回の血流が減少していました。

そして、治療による扁桃体、中脳水道灰白質、左視床の活動低下が大きければ大きいほど、1年後の予後が良好なことが判明しました。

★コメント

SSRIと認知行動療法は扁桃体や海馬の興奮を抑えることで、その臨床効果を発揮することを示した研究です。

著者らによれば、中脳水道灰白質は防衛反応に関与しているとのことです。視床は扁桃体に情報を伝達しています。血流が変化した前帯状回領域と前頭葉は情動処理を担っています。

認知行動療法(精神療法)や薬物療法が辺縁系(扁桃体・海馬)の興奮を鎮めることで不安症状を緩和させるということを主張したい時にこの論文がよく引用されます。現段階でも、これらの治療法が脳に作用するメカニズムに関する研究は限られているのが実情です。なので、2002年という当時の年代を考えれば反響は大きかったと思われます。だから、引用が多いのでしょう。

サンプルが少なく治療後1年までという限界はあるものの、脳血流量によって予後を推測できるという点は意義深いのではないでしょうか。今後、同種の研究が蓄積されれば、脳血流を治療継続の判断に用いることが可能になると思います。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
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マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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