何も話さないイノシシが主人公の童話 | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

北村恵理(きたむらえり)『 アレハンドロの大旅行(福音館書店)』はひとことも話をしないイノシシが登場する童話の絵本です。どういうお話だろうかと気になったので読んでみました。以下、ネタバレ注意です。

子供向けの童話なだけにあらすじはシンプルで何も話さないイノシシ、「アレハンドロ」が話せるようになるために旅に出て目標地点である丘の頂上に達し、お家に帰ってくるというものです。実際、丘の頂上に到着すると大きな声をあげることができるようになり、その後も普通に喋ります。

ただ、はっきり言って内容は場面緘黙症(選択性緘黙)とは違うかなと思います。旅の最中に喋るタイミングを逃したり、他の動物(コンドル)が代わりに喋ってあげるなどで喋れなかったという場面が多すぎるのです。もちろん、旅に出る前はこのイノシシが「場面緘黙症」だった可能性は無きにしも非ずなのですが、いかんせん子供向けの童話ということもあってか状況説明が少なすぎるので判断不能です。また、同書には緘黙という言葉が一切使われていませんし、「喉が詰まったような感覚」の描写が1つもありません。単に発語発達が遅いだとか言葉の遅れがあるなどの理由でも説明できそうです。もっともこれらの説明だけでは後半で急に話し始めるシーンとは不整合になるので、説得力は高くありません。しかし、後半でのおしゃべりは文法的にも単純なもので、言葉の発達に遅れがあっても話せる内容かもしれません。このあたりのところは私に言語発達に関する専門知識が欠けていることもあり、判断できませんでした。

状況設定がよく分からないという面では誰に対して喋らないのか?どのような状況で喋らないのか?という情報も不足しています。このため、緘黙症の可能性を考慮するならば、場面緘黙症ではなく、全緘黙症の疑惑も拭いきれません。

ただ、解釈は人それぞれなので、ご興味のある方は1回読んでみると良いかもしれません。緘黙の文字が1回もでてきませんから、子供に場面緘黙症という言葉を伝えたくない親御さんや先生方がこの童話を緘黙児や友達、同級生などに読んでもらい反応を窺うという使い方もできるかもしれません。

『アレハンドロの大旅行』は福音館書店の福音館創作童話シリーズの内の1つです。福音館書店は子供向けの本を出版する株式会社です。福音館創作童話シリーズは宮沢賢治の『 セロひきのゴーシュ』や『 雪わたり』の出版を手がけたことがあります。産経児童出版文化賞を受賞した作品も出したことのある児童出版社です。

作・絵(著者)の北村恵理さんは絵本作家。北海道空知郡北村(現岩見沢市)生まれ。福音館書店出版の『 こぐまのたろの絵本(全3巻)』で毎日出版文化賞受賞。他に『 みんなのぶなのき』、『 森に学校ができた』、『 森の学校のなかまたち』、『 ハコの牧場』などの作品を発表。声優の喜多村英梨(きたむらえり)さんとは別人です。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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