行動抑制の前触れがあった人の脳の厚さ | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

不快な刺激に対して手足をばたつかせる乳児(4ヶ月)とそうでない乳児は18歳になると脳の厚さが異なることを示した研究をとりあげます。不快な刺激に対する乳児の反応と行動抑制についてはこちらを参照してください。手足をばたつかせることだけが過剰反応ではありません。不快な刺激に泣くというのも過剰反応の一種です。なお、行動抑制というのは見知らぬ人や物、場所などに安易に近づかないことです。

Schwartz, C. E., Kunwar, P. S., Greve, D. N., Moran, L. R., Viner, J. C., Covino, J. M., Kagan, J., Stewart, E., Snidman, N. C., Vangel, M. G., & Wallace, S. R.(2010). Structural differences in adult orbital and ventromedial prefrontal cortex predicted by infant temperament at 4 months of age. Archives of General Psychiatry, 67, 78-84.

★概要

4ヶ月齢の時に不快な刺激に過剰反応を示した乳児が18歳になった時の脳の厚さを過剰反応がなかった人の脳の厚さと比較した研究です。18年の追跡調査です。過剰反応だった人は感情・扁桃体の制御を担う眼窩前頭前野の左側が薄く、防衛反応や交感神経系の働きに重要な腹内側前頭前野の右側が厚いという結果が得られています。その差は10~12%ほどです。厚さの差異はその他の脳領域では認められませんでした。

★コメント
腹内側前頭前野や過剰反応を示す乳児の脳内機構に関してはなるほどと思わされる考察が展開されています。うつ病の人の眼窩前頭前野の厚さに関する知見も交えた考察もしています。

ただ、社会不安障害との関連については調べているものの、性格については調べていません。性格と眼窩前頭前野や腹内側前頭前野の厚さに関係があるとしたら、単純に過剰反応と脳の厚さが関係しているとは言えなくなります。というのも、過剰反応は行動抑制と関係し、その行動抑制はシャイネスや慎重さ、内向性の前触れとも考えられるからです。

また、18歳時点での脳の厚さを計測するという方法が間接的過ぎます。したがって、この知見がどの程度、先天的要因や発達過程に因るのかは分かりません。乳児の時からすでに脳の厚さに違いがみられるという可能性もあります。

大脳皮質は神経細胞の種類や分布が異なる6層からなっているのですが、もしかしたら全ての層ではなく、ある特定の層に厚さの違いがみられるかもしれません。今後の研究が待たれます。生きている人の6層構造を調べる技術が開発されているかは分かりませんが…。

眼窩前頭前野に関しては社会不安障害でも関与が指摘されています。たとえば、人前でスピーチをしている時に社会不安障害の人は眼窩前頭前野の血流が減少し、そうでない人は血流が増加するという報告(Tillfors et al., 2001)があります。

第1著者のSchwartz教授はKagan教授と共同研究を行っていることがあります。今回もその流れを受けたものなのでしょう。

○引用文献

Tillfors, M., Furmark, T., Marteinsdottir, I., Fischer, H., Pissiota, A., Långström, B., Fredrikson, M.(2001). Cerebral blood flow in subjects with social phobia during stressful speaking tasks: a PET study. American Journal of Psychiatry, 158(8), 1220-1226.

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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