ロッククライミングの継続後に社交不安が低下する | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)、研究方法、研究結果だけを読んだ、社会不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ、社会不安(障害)なのかというと、場面緘黙症児(選択性緘黙症児)は社会不安が高いか、もしくは社会不安障害(社交不安障害,社交不安症)を併発していることが多いという知見があるからです。また、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害(不安症)になっています。

今回は、ロッククライミングを週3回、2か月間実施した後に社交不安が低下し、これに男女差は検出されないという研究です。

なお、社会不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事⇒人は心臓の拍動音が自分のものかどうか認識できる
↑たとえ自分とほぼ同じ心拍数の人の心臓音でも、心音の自他識別ができるそうです。しかも、弁別判断がどの程度正確か分からなくても(メタ認知が低くても)、心音の自他識別ができるという結果も得られています。

Ozen, G. (2015). The Effect of Climbing Community Activities as a Leisure on University Students’ Social Anxiety. Anthropologist, 21(3), 558-564.

トルコボル県のアバントイゼットバイサ大学体育スポーツ研究科の研究者による単著論文です。

○方法

研究協力者は大学生30名(女子大生13名,男子大学生17名)。

研究参加者は人工壁や実際の岩壁をロッククライミングすることをレクリエーションとして、平日に2日、週末に1日行うのを2か月間実施しました。クライミングは専門家のクライマーの指導のもと、集団で行いました。

使用質問紙:ロッククライミングの開始前と2カ月後(終了後)に回答
・社交不安の評定:青年用社交不安尺度(Scale of Social Anxiety for Adolescents,SAS-A)またの名を児童用社交不安尺度改訂版(Social Anxiety Scale for Children- Revised,SASC-R)を使用。SAS-Aの下位尺度は否定的評価への恐怖(Fear of Negative Evaluation,FNE)、全般的社会的回避・苦痛(General Social Avoidance and Distress,SAD-General)、新奇状況での社会的回避・苦痛(Social Avoidance and Distress in New Situations,SAD-New)の3つ。5件法で評価。

○結果

ロッククライミングの前と比較して、ロッククライミングの後で青年用社交不安尺度(SAS-A)の総得点、否定的評価恐怖(FNE)得点、新奇状況での社会的回避・苦痛(SAD-New)得点が低くなりました。ただし、全般的社会的回避・苦痛(SAD-General)得点の変化は有意にはなりませんでした。

また、SAS-Aの総得点、各々の下位尺度およびそれら得点の変化に性差は検出されませんでした。

○コメント

最近、ボルダリングという言葉を見聞きすることがありますが、ボルダリングはロッククライミングの一種のようです。ただ、私が読んだ範囲(抄録・研究方法・研究結果)だけでは今回のロッククライミングがボルダリングに相当するものなのかどうか判断できませんでした。といっても、そもそもロッククライミングの知識が乏しいので、情報があってもボルダリングだと断定できるかどうか定かではありませんが。

本研究はランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial,RCT)ではないため、ロッククライミングで社交不安が低下したかどうかは分かりません。これは「生花(華道)をした後に状態不安や呼吸数等が低下する」という記事でとりあげた研究と同様です。一方、岡山大学等の研究者らが行ったアロマフットマッサージ研究(Eguchi et al., 2016)はクロスオーバーRCTデザインのため、ロッククライミング研究や生花研究よりかは因果関係の推定に役立ちます。実際、ロッククライミング研究と生花研究のブログ記事タイトルは「生花(ロッククライミング)の(継続)後に状態不安(社交不安)が低下」という時間関係を意味する単語だけで表現していますが、アロマフットマッサージ研究の記事タイトルは「アロマフットマッサージで不安が低下…」と因果関係を示唆する書き方をするなど気を遣っています。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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