自分が非難される文を読むと… | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

今回は全般性社会不安障害の人が賛辞や非難に接した時に脳がどのような活動をするのかという疑問に挑んだ研究です。

Blair, K., Geraci, M., Devido, J., McCaffrey, D., Chen, G., Vythilingam, M., Ng, P., Hollon, N., Jones, M., Blair, R. J. R., & Pine, D. S.(2008). Neural response to self- and other referential praise and criticism in generalized social phobia. Archives of General Psychiatry, 65, 1176-1184.


★概要

他者の前で話したり、なにかをしたりすることだけでなく、ほとんどの社会的場面を恐れる全般性社会不安障害に関する研究です。全般性社会不安障害の人と心身の疾患がない人に下記のような文を読ませます。その間に、fMRIで脳活動に関するデータを収集しています。

1.「あなたは天才だ」「あなたは馬鹿だ」「あなたは人間だ」といった参加者自身に関する肯定文や否定文、そのどちらでもない中性的な文

2.「彼/彼女は天才だ」「彼/彼女は馬鹿だ」「彼/彼女は人間だ」といった第3者に関する肯定文や否定文、そのどちらでもない中性的な文

※参加者には日常で意見を気にしている人を頭に描いてもらいながら文を読ませています。

その結果、全般性社会不安障害の人はそうでない人よりも自己に関する否定的な文を不快に感じていました(質問紙で確認)。社会不安障害の人は自己に関する否定的な文を読んだ時だけ扁桃体や内側前頭前野(ブロードマンの脳地図の8・9野)が左右の半球で活発になることが分かりました。左扁桃体と内側前頭前野が機能的に連動していることも統計的に確認できました。筆者らは先行研究を渉猟し、扁桃体が感情に、内側前頭前野が自己に関係する情報の処理に関与していると述べています。

★コメント

社会不安障害に関する研究は通常、怒った顔や笑顔を見せたり、人の前でスピーチをさせるといった実験場面を設定することが多いです。他には、自己に関する他者評価を考えさせる場合もあります。しかし、今回は参加者自身や第3者に関する文を読んでいる時の脳活動を調べているという点が独特です。

○参加者の特徴について

ただ、参加者の性別が若干不均一で統制されていないように思われます。著作権法を考慮し具体的な数字をあげるのは控えますが、社会不安障害の人は男性の方が多く、心身の疾患がない人はほぼ同数になっています。扁桃体や内側前頭前野の活動について性差があるかどうか調べた先行研究があればいいのですが…。また、どちらの群でも平均IQが110以上となっており、平均的な水準(IQ100)ではありません。その他、鬱傾向が何らかの影響を脳活動に与えた可能性もあります。というのも、今回の社会不安障害の人は鬱に関する質問紙調査で心身の疾患がない人よりも高得点となっているからです。しかし、社会不安障害はうつ病の引き金になることがあるので、なかなか「純粋な」社会不安障害の人を見つけるのは難しそうです。

○実験手続きについて

日常で意見を気にしている人を頭に描いてもらいながら文を読ませているので、参加者ごとに全く異なる人物像(友達・恋人・両親・上司など)を想起させている可能性もあります。ただ、個人個人の事情は異なるので、この条件を統制するのは難しそうです。統制するとかえって、良くないかもしれません。大事なのは実験者側の指示の仕方です。結果として、参加者が皆、想像した状況・人物に対して同じような気持ちを持つ指示の仕方が重要です。

○その他

考察の後半でおや?と思う議論がありました。私はある理由からこの議論には賛成できないのですが、どうなのでしょうか。ちなみに、この論点は全般性社会不安障害の認知モデルと本結果との関係に関するものです。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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