富の不平等→不安→カロリー摂取量の増大が強く出るのは… | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、論文アブストラクト(抄録)だけを読んだ不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)・恐怖なのかというと、場面緘黙(選択性緘黙)児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会(APA)が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害になりました。

今回は、他人より自分の方が貧しい/豊かだと思うと、不安が高まり、不安がカロリー摂取量を増加させるという研究です。特に、所属欲求が高い人達で顕著です。

なお、不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事1⇒狭い場所にいると自己制御が上手になり、食物の誘惑に勝てるようになる
最近の記事2⇒精神障害者かどうかは顔を見れば分かる
↑2つ目の記事の精神障害とは、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)と大うつ病性障害(うつ病)のことです。写真に写っている人の抑うつの程度も、顔を見ればある程度推測できるようです。

Bratanova, B., Loughnan, S., Klein, O., Claassen, A., & Wood, R. (2016). Poverty, inequality, and increased consumption of high calorie food: Experimental evidence for a causal link. Appetite, 100, 162-171. doi:10.1016/j.appet.2016.01.028.

イギリス、スコットランドのセント・アンドルーズ大学、エディンバラ大学、ベルギーのブリュッセル自由大学、オーストラリアのメルボルン大学倫理的リーダーシップセンター(Centre for Ethical Leadership)の研究者による共著論文です。

〇背景

疫学研究から肥満は貧困や富の不平等との関わりが指摘されていました。この原因の1つには貧困や富の不平等でカロリー摂取量が増加することがあると考えられますが、本研究ではそのことを実験的に検証しました。

〇結果

研究1(Study 1)の結果、実験操作で自分のことを裕福だと考えさせた場合と比較して、貧しいと考えさせたらカロリー摂取量が増えました。

研究2(Study 2)では、交流パートナーよりも自分の方が貧しい、または豊かだと信じさせると、富が平等だと信じさせた場合と比較して、不安が強まりました。この不安がカロリー摂取量を増加させました。特に、所属欲求が高い人達で顕著でした。

〇まとめ

これらの結果は、貧困や富の不平等(の主観的知覚)とカロリー摂取量の間には因果関係が存在することを示唆します。特に、富の不平等(経済格差)は不安を媒介としてカロリー摂取量を増加させるようです。この現象は所属欲求が高い人達で顕著なようです。他人より貧しいのならまだしも、豊かな場合でも不安が高まるというのは興味深いです。

摂食関連の研究記事
拒食症リスクが高い不安障害(特に強迫性障害)
拒食症になった場面緘黙症の男子青年
声量フィードバックと暴露療法を場面緘黙の女子高生に←中学生に摂食障害症状が重症化した場面緘黙の女の子の事例研究です。
そういえば、今回の論文とは直接関係がありませんが、場面緘黙症の(疑いがある)子供で食べ物の好き嫌いがあったのは35.1%で、健常発達児の9.7%と比較すると多いという研究発表(Steinbeck et al., 2016a)もありました。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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