行動抑制の人は扁桃体が早く、長く、強く、反応する | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

馴染みのない物や人を警戒し回避する行動抑制。子どもの行動抑制は将来、社会不安障害やうつ病になる確率を高めると言われています。今回は、不安や恐怖を担う扁桃体の反応が「早く、長く、強い」ことが行動抑制の特徴であると主張した論文をとりあげます。なお、行動抑制については。こちらをご覧ください。

Blackford, J. U., Avery, S. N., Shelton, R. C., & Zald, D. H.(2009). Amygdala temporal dynamics: temperamental differences in the timing of amygdala response to familiar and novel faces. BMC Neuroscience, 10, 145.

★概要

実験手法はほとんどBlackford et al.(2011)と同じです。抑制傾向がある人と行動抑制とは対極にある人に、無表情な顔を見せ、その間の脳活動をfMRIで調べています。以前参加者に見せた顔(既知条件)と初めて見せる顔(新奇条件)という2タイプの刺激を用いています。Blackford et al.(2011)と異なるのは扁桃体の活動を4点に焦点をあてて分析していることです。

①開始の早さ

②持続時間

③ピーク時の大きさ

④全体的な大きさ

その結果、抑制気質の人は、既知条件と比較して新奇条件で扁桃体が早く反応しました。具体的に言うと、既知条件の場合は行動抑制のあるなしに関わらず、扁桃体が反応するまで4~5秒かかりました。一方、新奇条件では行動抑制がある人のみ扁桃体が反応するのに約1秒しか要しませんでした。この反応は右扁桃体の方が顕著でした。

また、既知・新規の条件に関わらず、抑制気質のある人はその対極にある人よりも扁桃体の反応が長く、全体的に大きいことが分かりました。なお、ピーク時の大きさは行動抑制のあるなしで差がありませんでした。

★コメント

一口に行動抑制の人は扁桃体の閾値が低いといっても、具体的にどのような挙動を示すのか不明確です。この研究はその時間的側面を明らかにした点で優れています。扁桃体の反応が早くおきることや持続しやすいこと、反応度が強いことが行動抑制の特徴かもしれません。

抑制気質がある人の扁桃体は既知の刺激に対する警戒を容易に解かないといった報告(Blackford et al., 2011)もあります。今回の研究も、行動抑制の人は新奇な顔刺激だけでなく、既知の顔刺激に対しても扁桃体の反応が強く、持続するという結果が得られています。どうやら抑制気質のある人は新奇なものに対する反応だけでなく、すでに馴染みのあるものに対しても警戒心を解かないと言えそうです。しかし、馴染みのある顔刺激に対する扁桃体の反応スピードが遅くなっていることを考慮すれば、多少の警戒心・不安感は解消されていることが示唆されます。もちろん、まだまだ研究の途上で、これから異なった結果が得られる可能性もあります。

私はfMRIデータの解析方法に精通していないので分からないのですが、扁桃体の活動時間が長いほど全体的な反応が強くなるということも考えられます。ただ、元々全体的な反応の程度を数値化する方法に活動時間を加味しているならば、この主張は正当性を失います。

Blackford et al.(2011)と同じく、行動抑制の程度は自己申告で決定しています。実験者の観察に基づく判定は取り入れていません。

研究グループは、Blackford et al.(2011)より1名少なくなっています。しかし、ヴァンダービルト大学の同じ研究グループであることに変わりはありません。もしかしたら、今後もヴァンダービルト大学の研究グループが行動抑制児(人)の扁桃体に関する研究を発表するかもしれません。Blackford教授らの名前を頭の片隅に入れておいても損はしないはずです。

引用文献

Blackford, J. U., Avery, S. N., Cowan, R. L. Shelton, R. C., & Zald, D. H.(2011). Sustained amygdala response to both novel and newly familiar faces characterizes inhibited temperament. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 6(5), 621-629.

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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