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バランスの良い食事をする女性は不安が低い

2017-08-06 (Sun) 19:580
不安(障害)・恐怖に関する興味深い研究
興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、論文アブストラクト(抄録)、序論の一部、方法の一部、結果の一部、考察の一部を読んだ不安(障害)・恐怖に関する興味深い論文を取り上げます。ほとんどが最新の研究成果です。

なぜ不安(障害)・恐怖なのかというと、場面緘黙(選択性緘黙)児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会(APA)が発行するDSM-5では場面緘黙症が不安障害になりました。

今回はバランスの良い食事をする女性は不安が低いというお話です。

なお、不安(障害)・恐怖以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

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Poorrezaeian, M., Siassi, F., Qorbani, M., Karimi, J., Koohdani, F., Asayesh, H., & Sotoudeh, G. (2015). Association of dietary diversity score with anxiety in women. Psychiatry Research, 230(2), 622-627. doi:10.1016/j.psychres.2015.10.016.

イランのテヘラン医科大学栄養食品学部公衆栄養学研究室、同大学栄養食品学部細胞分子栄養学研究室、アルボルズ医科大学医学部地域医療研究室、マラーイエル大学文学人文科学部心理学研究室、ゴム医科大学救急研究室の研究者による論文です。

〇背景と目的

食事が精神障害、特に不安に重要な役割を果たしているというエビデンスがあります。食事多様性得点(Dietary Diversity Score,DDS)は食事の質の指標となりますが、不安との関連は調べられていません。そこで、DDSと不安との関連を調査することを本研究の目的としました。

〇方法

2014年、イランのテヘラン南部の健康センターに通う女性360人を対象に横断調査を実施。

体重と身長は実際に計測し、BMIを算出。ウエスト周囲径も計測。

食事摂取(量)は24時間思い出し法(24-hour Dietary Recall,24HR)で、不安得点は抑うつ不安ストレス尺度(Depression, Anxiety, Stress Scales,DASS)で評定。

食事多様性得点(DDS)は国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations,FAO)のガイドラインに従って算出。

〇結果

およそ35%の女性が高い不安を示しました。DDSが1~3の人は12.5%で同じ種類の食物ばかり食べていました。残りの87.5%の女性は、DDSが4~7でした。

不安得点の平均値は、DDSが低い女性群よりもDDSが高い女性群の方が低くなりました。これは、年齢、教育水準、収入、栄養補助食品(dietary supplements)の使用、身体活動、BMI、婚姻状況、エネルギー摂取量を調整した後も有意なままでした。栄養補助食品使用者を除外したデータ解析でも同様の結果でした。

〇コメント

論文によると、不安と食事の多様性の関係を調査したのはこれが初めてらしいです。ただ、サンプルは女性だけなので、男性でも同様の結果が得られるかどうかは分かりません。また、イランの女性の食習慣と日本の女性の食習慣は違うと考えられ、本結果が日本人女性にも当てはまるかどうかは不明です。それに今回の研究は、多様な食物・栄養の摂取が不安を低下させるという因果関係を意味しません。不安が低い人が多様な食品群を摂取すると考えることもできますし、身体活動量が多い等の共通要因がある可能性もあります。したがって、RCT(ランダム化比較試験)による検証が望まれます。

なお、DDSの算出方法は以下の通りでした。まず、食物を9つの食品群に分類。その食品群とは、穀物・白(根菜類)、牛乳・乳製品、ビタミンAが豊富な野菜果物、緑色葉野菜、他の野菜果物、肉類・魚類・海産食品、内臓肉、卵、ナッツ・種子・マメ科植物のことでした。各々の食品群で1つの食物を半人前以上食べると1点とし、9つの食品群で合計得点を算出。つまり、最低得点は0で最高得点は9でした。

DDSが高い=バランスのとれた食事とは一概には言えないかもしれません(私は食品や栄養のことについては疎いのでよく分からないというのが正直なところです)。しかし、論文の序論によれば、DDSが高い女性は食事から摂取する栄養が適切な範囲だとのことです。また、DDSが高い人は、メタボリックシンドロームや心血管疾患、癌、高血圧のリスクが低いそうです。なので、DDSが高いと健康的だと考えられ、それならば、「バランスのとれた食事/バランスの良い食事」という表現も妥当かなと思い、本記事を「バランスの良い食事をする女性は不安が低い」というタイトルにしました。

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