認知再構成法はエストラジオール濃度が高い時に有効性が高い | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクト(要旨)だけ読んだ不安・恐怖(障害)の治療法に関する最新の論文を取り上げます。

なぜ不安・恐怖(障害)なのかというと、場面緘黙症児は不安が高いか、もしくは不安障害(不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。さらに、米国精神医学会が発行するDSM-5では場面緘黙症(選択性緘黙症,選択的緘黙症,選択緘黙症)が不安障害になりました。

今回は血中エストラジオール濃度が高い(時期の)女性は、認知再構成法訓練後に恐怖条件づけ反応が低くなるというお話です。

なお、不安・恐怖(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

最近の記事1⇒余白はメッセージの説得力を低下させる
最近の記事2⇒母親は乳児に頭のいい子、勤勉な子よりも外向的な子になってほしい

Graham, B. M., Ash, C., & Den, M. L. (2017). High endogenous estradiol is associated with enhanced cognitive emotion regulation of physiological conditioned fear responses in women. Psychoneuroendocrinology, 80, 7-14. doi:10.1016/j.psyneuen.2017.02.023.

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学心理学部の研究者による論文です。

〇背景と目的

女性ホルモンのエストラジオール(E2)は、認知的情動制御に関わる神経生物学的機構を調整する役割を担っています。そこで、本研究では、エストラジオールが認知再構成法(cognitive restructuring)の結果(アウトカム)と関連するかどうか調べることを目的としました。

*認知再構成法とは、認知行動療法の技法の1つのことで、不適応な認知の歪みを修正し、気分や行動を改善することが可能です。認知再構成法では、特に「自動思考(automatic thoughts)」と呼ばれる心の働きに注目します。自動思考とは、ある状況に遭遇した時に、自然と自動的に湧き上がってくる思考やイメージのことです。自動思考は瞬間的な判断を助けるという適応的機能を持つ一方で、それが過度に歪んでいると非適応的になることがあります。非適応的な自動思考の歪みを緩和する方法が認知再構成法となります。

〇方法

月経周期が定期的に生じる女性34名が参加。

実験は1日だけの分化恐怖条件づけ。手順は、恐怖条件づけ→認知再構成法の訓練→恐怖条件づけの順番。

認知再構成法の訓練は、条件づけ手続きに関する最初の思考を再評価し、情動反応を下げるのが目的。

〇結果

血中内因性エストラジオール濃度は、初回の条件づけセッションにおける主観的または生理的な条件づけ恐怖反応とは関連しませんでした。

認知再構成法訓練後、血中エストラジオール濃度が低い女性よりも高い女性の方が、条件刺激の下での生理的覚醒が低くなりました。2回目の条件づけで血中エストラジオール濃度の高低の違いによって、主観的恐怖評価に有意差は検出されませんでした。しかし、血中エストラジオール濃度が高い女性の方が、認知再構成法直後の2回目の馴化フェイズ中の恐怖評定が低くなりました。プロゲステロン(黄体ホルモン)濃度と関連する指標は発見されませんでした。

〇コメント

本実験結果から、生理周期で卵胞ホルモンの一種であるエストラジオールの血中濃度が高い時期には、認知再構成法の効果が高くなることが示唆されます。ただ、これはあくまでも恐怖条件づけという実験手続き上のことで、日常生活でもそうなのかどうかは不明です。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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