現在のDSM-Ⅳで全緘黙は診断できるか? | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
HOME   »   緘黙を(臨床)心理学の研究等から考察  »  現在のDSM-Ⅳで全緘黙は診断できるか?

問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

全緘黙というのはあらゆる状況で話すことができない症状です。

そして、精神疾患の診断に用いられているDSM-Ⅳによれば、場面緘黙の診断基準は以下の通りです。


A.他の状況では話すことができるにもかかわらず、ある特定の状況(例えば学校のように、話すことが求められる状況)では、一貫して話すことができない。

B.この疾患によって、学業上、職業上の成績、または社会的な交流の機会を持つことを、著しく阻害されている 。

C.このような状態が、少なくとも一ヶ月以上続いている(これは、学校での最初の一ヶ月間に限定されない)。

D.話すことができないのは、その社会的状況において必要とされている話し言葉を知らなかったり、また、うまく話せない、という理由からではない。

E.コミュニケーション障害(例えば、吃音症)では説明がつかず、また、広汎性発達障害、統合失調症またはその他の精神病性障害の経過中以外にも起こるものである。



全緘黙の人は厳密に言えば、Aの診断基準を満たしません。というのも、Aには「他の状況では話すことができるにもかかわらず」という文言があるからです。全ての状況で緘黙してしまうのにどのように話すことができる他の状況を見つけるのでしょうか?後天的にすべての場面で沈黙してしまうようになったならともかく、生まれながら全緘黙である場合はいかにして診断するのか、疑問が残ります。後天的な全緘黙でも保護者や周囲の人の報告に頼るしかないという限界があります。

Dの診断基準はどうでしょうか?たしかに全緘黙の人の「話し言葉」の能力をチェックするのは難しいかもしれません。しかし、話し言葉主体の文章やリスニングで理解能力を診れそうです。

たとえば、統合失調症の診断基準では、5つの特徴的症状の内、2つ以上の症状が1ヶ月間ほとんどいつも存在するという但し書きがあります。しかし、場面緘黙の場合はそれもありませんし、全緘黙という表現も見当たりません。もし、場面緘黙の診断が上記の5つの基準に全て当てはまることに依拠するのであれば、全緘黙の診断は非常に困難な気がしてなりません。

スポンサードリンク

Comment

スポンサードリンク

Trackback
Comment form
カテゴリ
ランキング
Twitter
スマートフォンサイト
Amazon書籍
場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

リンクについて
このサイトはリンクフリーです。リンクの取り外しはご自由になさって下さい。個別ページのSNSでの共有やブログ、サイトへのリンクも自由です。
プライバシーポリシー
当ブログはGoogle Adsense広告を掲載しています。Google Adsenseでは広告の適切な配信のためにcookie(クッキー)を使用しています。ユーザーはcookieを無効にすることができます。

なお、Google Adsenseで上げた収益は将来のホームレス生活を見越し、すべて貯金にまわしています。
免責事項
ブログ記事の内容には万全の注意を払っていますが、管理人はその内容の正確さについて責任を負うものではありません。

PAGE TOP